7年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたメルセデス・ベンツAクラスは、Bクラス同様にサンドイッチコンセプトの2重構造と決別し、長いフロントノーズと低く構えたスタイリングが特徴です。
BMW 1シリーズへの対抗心も感じさせますが、今回試乗した「A180 BlueEFFICIENCY Sports」にはフロントスポイラー、サイド&リヤスカートからなる「AMGスタイリングパッケージ」が装着されており、Cセグメントきってのスポーツ系という外観を獲得していて、なかなか魅力的に映りました。
さて、ECOモードにしてから走り出すと、ボルボV40と比べるとかなり出力を抑えた特性で1シリーズのECO PROモードと同様に、市街地なら不足のない程度に走れるかなという印象です。正直に言うとこのモードではかなり遅いですから、首都高速への流入や高速道路での追い越し時にストレスフリーな加速を得るには、ECOをオフにするのが無難。
ボルボV40の180ps/240Nmと比べると、Aクラスの1.6L直噴エンジンは、122ps/200Nmとかなり控えめですから、そのパワー&トルクの差ははっきりと感じられます。ハイパワー役は、211psの2.0Lエンジン搭載するA250 SPORT(シュポルト)に任せるということでしょう。
また、試乗車はスポーツサスペンションとAMGルックのアルミホイールと、225/40R18タイヤの組み合わせで、銘柄はグッドイヤーの「イーグルF1」。18インチでもバネ下はさほど重くありませんし、乗り心地もファミリーユースであっても許容範囲でしょう、しかもかなりのハイグリップぶりで、ブレーキ性能もピカイチでした。
そのシャーシが真価を発揮するのは高速道路です。制限速度くらいでは万全なスタビリティを見せてくれますし、より上の速度域でも操縦安定性は揺るぎなく、ハイウェイクルージングが得意科目のようです。これくらいのエンジンパワーだとこのシャーシは盤石。
スポーティ度合いをライバルと比べると、1.6Lの「A180」系はV40や1シリーズ(116i)よりもパワー面では一歩譲るものの、高速のスタビリティではアドバンテージがあり、スタイリングもかなり攻めているという印象でした。
なお、あくまで参考ですが今回は155kmを走って燃費は13.7km/Lでした。高速が8割くらいと多かったですが、エコランをしたわけではないのでなかなか立派だと思います。
(塚田勝弘)