このところ、日本メーカーの燃費競争は熾烈を極めています。つい先頃まで、第一のエコカーはハイブリッド(HV)、第二が電気自動車(EV)、そして第三のエコカーが高効率NAエンジンというふれこみでした。ところが最近では、プラグインハイブリッド(PHV)や直噴ディーゼルターボ、そしてダウンサイジング・スーパーチャージャーなどの新技術が続々と参戦し、燃費競争はまさに群雄割拠の様相を呈しています。そんな中プラグインハイブリッドでも、「プリウスPHV」に続いて、三菱から「新型アウトランダーPHEV」が新技術を満載して登場してきました。
■JC08モード「EV航続距離」と「PHV燃費率」で、プリウスPHVを凌駕!
まずはカタログ値で、ライバル比較をしてみましょう。 プリウスPHVは、プリウスのバッテリー容量を拡大して、外部電源200Vからの充電機能を持たせました。EV航続距離は26.4kmを可能にするとともに、HVとEVをあわせたPHV燃費率では61km/lを達成しました。
一方新型アウトランダ-PHEVは、外部電源は200Vに加えて急速充電器にも対応。EV航続距離は60.2km、PHV複合燃費率は67km/lと、重量級SUVでありながらプリウスPHVを凌駕する燃費性能を叩き出したのです。
ちなみにハイブリッド走行時の「HV燃費率」は、プリウスPHVが31.6km/lに対して、アウトランダーPHEVが18.6km/lです。高速道路等で遠出する場合は、プリウスPHVの燃費が優れていることがわかります。
■PHVのコア技術は、プリウスはHV!アウトランダーはEV!
両車共にプラグインハイブリッド方式を採用しますが、システム構成は全くといっていいほど異なっています。 プリウスPHVは、HVシステムをベースにEV用バッテリーを増設した構成となっています。エンジンは、動力中心で小容量の発電が可能。電気についてはEV用は外部電源から、HV用はブレーキ回生と小容量のエンジン発電で賄っています。(実際はEV用もエンジンから充電されますが、容量が少ない)。そのためプリウスPHVは、EV走行によってEV用バッテリーを使い切ると、普通のプリウス並みのHV走行モードに戻るですね。だから平日近場の通勤はEV走行、休日レジャーの遠出はHV走行というように、EVとHVを使い分けるカーライフに向いています。
一方新型アウトランダーPHEVは、EVシステムをコア技術に置いて開発されました。そのため街中や一般道では、EV走行が中心となります。EV走行でバッテリーを消費して容量が少なくなると、今度はエンジンで発電してバッテリー充電しながら、EV走行を続けていきます。この「シリーズ方式」こそが、アウトランダーPHEVの最大の特徴なのですね。また負荷が大きい高速道路等では、エンジンの動力を活かしたHV走行に切り替わります。つまり新型アウトランダーPHEVは、バッテリーEV走行と発電EV走行、そしてHV走行の3つのモードから、走行環境に最も適したモードを自動的に選択するため、全域での効率走行が実現したのです。
■5人乗りでモーター4WDの新型アウトランダーPHEVは、販売も好調!
世界に先んじて電気自動車i-MiEVを送り出した三菱が、持てる技術を結集して開発した新型アウトランダーPHEV。2列シートの5人乗り仕様ながら、新たなモーター4WD機能を標準搭載している点が、いかにも三菱らしいと思います。販売も好調で、今年度分のPHV補助金の締切が近いことも相まって、1月中旬で2000台近い受注を獲得(販売店情報)!。試乗車が行き届かない状況なのに、新技術を採用した300〜400万円超えのクルマに注文がバンバン入るのですから、本当に凄いと思います。
開発ストーリーやメカニズムなどの詳しい情報は、近々「新型三菱アウトランダーPHEVのすべて」が刊行される予定になっています!
■新型三菱アウトランダーPHEV
http://www.mitsubishi-motors.co.jp/outlander/special/new2012/main.html?type=phev
(拓波幸としひろ)