新聞報道などによると、中国政府がレアメタル(希少金属)の原材料9種を対象にした輸出関税を2013年1月1日付で撤廃したと発表したようです。これはWTO(世界貿易機関)が中国のレアメタル輸出規制を協定違反と最終判断した事を受けた緩和処置。
これまで中国はこれらの原材料に対して最高で40%程度の輸出関税をかけていましたが、今回の関税撤廃は日本などがレアメタルの代替品を開発し輸出が伸び悩んでいることに加え、国際社会からの批判をかわす狙いが有るとみられます。
また日米欧は2012年3月にレアメタルに属する「レアアース(希土類)」についても、中国の輸出規制は不当としてWTOに提訴しており、今後の動向が注目されています。
「レアアース」は自動車、IT製品等の製造に不可欠な材料で、中でもHV・PHV・EV車用のモーターに使用する磁力アップ用の「ネオジム」や耐熱性向上の為の「ジスプロシウム」は日本のハイテク・エコカー生産上で重要な原材料。
以前に「日本の自動車各社が中国産レアアースからの脱却を加速 !」でもお伝えしたとおり、2010年9月の漁船衝突事件の直後に中国がレアアースを政治カードに利用した事で、日本はリスク回避のため調達先を各国に分散して中国依存度を下げたり、レアアースを必要としないモーターの開発を促進すると共にリサイクル技術も開発。
これにより現在の日本のレアアース輸入量は前年比で約70%減、価格もピーク時に比べて約70%急落する結果となっています。
日本への輸出が激減したことで中国のレアアース業者は軒並み深刻な状況となっており、輸出規制の撤廃も時間の問題と思われますが、多大なリスクを経験した日本が再び中国からレアアースを調達するかは大いに疑問。
この他にも中国と日本の関係は2012年9月の尖閣諸島国有化問題で大きくこじれ、トヨタ自動車の場合、2012年度の中国での新車販売は9月以降、それまでの販売台数7~8万台/月からに一気に4万台(昨年比で半減)近くまで落ち込みました。
その後10月・11月で6万台レベルにまで回復傾向を見せており、2012年 1-11月販売累計は約74万9600台(前年同期比-3.3%)となっていますが、当初目標の年間販売100万台には遠く、トヨタは今後も販売水準の本格回復に1年位は必要とみているようです。
このように日本の自動車業界も度重なる政治衝突により多大な経済損失を招いており、今回の政権交代を期に外交面の早急な建て直しが求められそうです。
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