ダイムラーAGがローマ教皇に贈った特別な「Mクラス」とは ?

12月7日にダイムラーAGがバチカンのローマ教皇(法王)ベネディクト16世にメルセデス・ベンツMクラス(W166)を納車したようです。

でもこのクルマ、見てのとおり、普通のMクラスではありません。実はこれ、教皇の市内パレード用に製作された特装車。イタリアではローマ教皇のことを「papa(パーパ)」と呼ぶことから、教皇が乗るクルマを「パーパモビル(papamobile)」と呼ぶそうです。 

ベース車となった Mクラス W166

パーパモビルを最初に使ったのは先代教皇のヨハネ・パウロ2世からで、それまでは台に椅子が付いた神輿(みこし)のような物に教皇を乗せて担いで移動していたとか。その姿が流石に時代遅れということで現在のスタイルになったようです。

 

車両後部には防弾ガラスで囲われた部屋が設けられ、中の座席は教皇が乗降時に油圧制御で昇降可能。教皇が座ったままでもその姿が街頭で出迎える信者によく見えるよう工夫されています。 

ナンバープレートの「SCV‐1」のSCVはイタリア語で「バチカン市国」を意味する「Stato della Città del Vaticano」の略。ボディ側面の紋章のクロスする2本の鍵は現世的な権威と宗教的な権威を表していると言います。

 

このクルマが完成するまでの間は2002年に贈られたメルセデスML430が使われていたようで、「パーパモビル」は教皇が国外訪問する際に利用できるよう、世界各地に幾つか存在。 

ローマ教皇パレード用 ML430 (出展 Wikipedia)

2005年4月19日に就任した現在の第265代ローマ教皇ベネディクト16世はドイツ出身なので、納車にあたってはダイムラーAGのディーター ・ツェッチェ会長が直接教皇へ新型「パーパモビル」を説明。二人はドイツ語で会話しているという訳です。

 

ちなみに「パーパモビル」後部の「教皇部屋」が全面特殊防弾ガラスで覆われたのは1981年に起きた教皇暗殺未遂事件後のこと。それまではオープンカーでのパレードだったそうです。

 それにしても今回の最新型MクラスW166を含めて世界中に散在するローマ教皇専用の防弾車、総額で一体如何程のお値段となっているのかが気になるところですが、メディアなどへの露出効果を考えると自動車メーカーにしてみれば案外お安い宣伝費なのかもしれません。 

 (Avanti Yasunori) 

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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