ホンダが次世代の1.5リッター・スポーツハイブリッドを発表しました

ホンダが新世代パワートレイン技術ブランド「EARTH DREAMS TECHNOLOGY(アース・ドリームス・テクノロジー)」に新しい仲間が加わりました。

これまで2モーター、3モーターの中重量級システムとして開発されてきた『スポーツハイブリッド』にニューフェイスです。小型車向けの1モーターハイブリッドシステム「SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive(スポーツ・ハイブリッド・インテリジェント・デュアル・クラッチ・ドライブ)」の概要が発表されたのです。

すでに発表されている、2モーターを採用した「SPORT HYBRID Intelligent Multi Mode Drive(スポーツ・ハイブリッド・インテリジェント・マルチ・モード・ドライブ)」と3モーターを採用して左右の駆動力を自在に制御する四輪駆動の「SPORT HYBRID SH-AWD(SPORT HYBRID Super Handling – All Wheel Drive:スポーツ・ハイブリッド・スーパー・ハンドリング・オール・ホイール・ドライブ)」と合わせて、クルマの特性や車格に合わせた3つのSPORT HYBRIDシステムが揃ったことになります。

 

新しい「スポーツ・ハイブリッド・インテリジェント・デュアル・クラッチ・ドライブ」は、1.5リッターエンジンとモーターを並列に配置するところまでは従来のハイブリッドシステムと共通していますが、変速装置に7速DCT(デュアルクラッチトランスミッション)を使っているところが大きな違いとなります。

またエンジンも新開発の直列4気筒1.5Lアトキンソンサイクルとなり、バッテリーはCR-Zなどでようやく採用されるようになったリチウムイオンバッテリーを組み合わせるとのこと。従来型の1モーターハイブリッドシステムに比べて、30%以上の効率向上を実現するといいます。

基本的に、加速や高速クルーズ時はクラッチを接続させ、1モーター+エンジンにより走行するので、現状の1モーターハイブリッドシステムと似ています。しかし、発進、低・中速クルーズ時は、クラッチでエンジンを切り離し、モーターだけで走行するということ。さらに減速時もクラッチでエンジンを切り離し、エネルギー回生を高めることで効率アップにつなげるということです。

 

ちなみに、2モーターハイブリッドは、ハイブリッド専用エンジンに2個のモーターを内蔵したクラッチ付き電気式CVTを組み合わせたもの。プラグイン(外部充電)も考慮されているとのことで、3つの走行モードを持っています。ひとつは内蔵したリチウムイオンバッテリーからの電力によりモーター駆動するEVドライブ・モード。もうひとつが、エンジンだけで走行するエンジンドライブ・モード。そして3つ目がエンジンで発電機を回し、その電力で駆動モーターを動かすハイブリッドドライブ・モード。

なお、このシステムを搭載した市販モデルは「アコード」になる予定。2013年1月より北米市場において販売開始されるということです。

 

フラッグシップモデルとなるアキュラRLXへの搭載がウワサされているのが、「スポーツハイブリッドSH-AWD」です。これは、冒頭に紹介した1モーターシステムの発展形ともいえるもので、フロントにV6エンジンと1モーター内蔵の7速DCTを搭載、リヤに左右独立モーターを配した3モーターの四輪駆動ハイブリッド。

フロントのV6+モーターはV8エンジンを思わせる滑らかさとトルクフルな走りを実現する一方、リヤに搭載された2つのモーターによる左右輪のトルクベクタリングで、ヨーコントロールを行なうというもの。驚くほどのコーナリング性能が可能になるということです。たとえば、コーナリング中の内輪はエネルギー回生により発電させ(マイナスのトルク)、その電力を外輪に与える(プラスのトルク)ことで、クルマの旋回力となるヨーコントロールが可能になるということ。

このハイブリッドシステムはスポーツフラッグシップである次期NSXにも前後逆転した状態で載るといわれています。

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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