ホンダCR-Zが第二世代に進化。ハイブリッドMT車で世界初のリチウム電池搭載

ティザーサイトにおいて、第二世代への進化をアピールしてきたホンダのハイブリッドスポーツ「CR-Z」がついに、その進化した姿を現しました。
8連LEDポジションランプや新しいフロントバンパー/リアディフューザーなどにより、エクステリアを洗練させていることも見逃せませんが、やはり注目はパワートレインでしょう。
ハイブリッドらしく、エンジンとバッテリーが共に進化しています。

まずはエンジン。

排気量は1.5Lと変わりませんが、マイナーチェンジ前は84kW(114馬力)/6000rpmだった最高出力を、高回転志向へとチューニング。88kW(120馬力)/6600rpmへとパワーアップしています(※6MT車の数値)。

ハイ/ローでカムプロフィールを切り替えるVTECを採用しているCR-Zですが、ハイカム側を見直したとのこと。またクランクシャフトも出力アップに対応して強度を向上させているとのことです。

そして、ハイブリッド用バッテリーに国内モデルとしては初めてリチウムイオンを採用(海外では北米シビック・ハイブリッドで採用)したのもニュース。

一般にリチウムイオンバッテリーは、従来まで使われていたニッケル水素バッテリーに対して、同体積での電気を蓄える能力に優れ、また充・放電も素早く行なえるようになります。つまり、同じスペースに収めても、より出力を増やすことができ、また回生による充電能力が向上し、そしてモーターアシストのパワーアップにつながるというわけです。
今回、電圧を従来の100Vから144Vへとアップしたことにより、駆動モーターの最高出力は従来の10kW(14馬力)/1500rpmから15kW(20馬力)/2000rpmへと向上しています。
ちなみに、マニュアルミッションのハイブリッドカーでリチウムイオンバッテリーを搭載しているのは、この第二世代CR-Zが世界初とのことです。

そうしたモーターアシストのレスポンス&パワーアップを、さらに引き出すのが、新たに搭載された「PLUS SPORTシステム」です。ステアリングに設けられた『S+』ボタンを押すだけでレーシングカーのオーバーテイクボタンさながらの瞬発力を発揮するとのこと。
具体的には、30km/h以上で走行中に、この『S+』ボタンを押しながら、アクセルペダルを少し踏み足すだけで、エンジン出力とモーターアシストを最大化。CVT車では、ギアレシオもロー側に制御するといいます。
普段は燃費重視のECONモードで走りながら、高速道路での合流などで『S+』ボタンを使うことで、ハイブリッドスポーツらしいモーターアシストの効いた加速が味わえるというわけです。
また、パワーアップをしながら、各部のフリクション軽減やミッションの効率向上などにより、CVT車のJC08モード燃費は従来の22.8km/Lから23.0km/Lへと向上しています(6MT車は従来通りの20.6km/L)。

グレード構成は、β、α、α・Master labelの3グレードで、それぞれ6MTとCVTが用意されます。また最上級のα・Master labelには17インチタイヤが標準装備されます。

β:2,365,000円(メーカー希望小売価格)

 

α:2,575,000円(メーカー希望小売価格)

 

α・Master label:2,630,000円(メーカー希望小売価格)

なお17インチタイヤを履いたグレードでは、JC08モード燃費が21.6km/L(CVT)、19.4km/L(6MT)となっていますが、全グレードで、2012年4月から施行された新エコカー減税に適合しています。

α・Master labelにはブラック×レッドのインテリアも設定。
よりスポーティで上級指向へと進化した第二世代CR-Zといえそうです。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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