【新型ワゴンR】減速エネルギーを利用するほど燃費性能は向上するを実践

2012年9月6日に発表予定の新型ワゴンR。28.8km/Lというクラストップの燃費性能を実現したという、このニューモデルは、優れた燃費性能を実現したキーワードとして『発電』をアピールしています。

ハイブリッドカーでなくとも、電気仕掛けで動いている部分がかなりを占める現代のクルマ。その電力はバッテリーから取り出しているようにも見えますが、現実的にはエンジンでオルタネーター(発電機)を回してまかなっています。

つまり、電装パーツを動かすための発電によるエネルギー消費は無視できません。そのための「発電」を、いかに効率よくするかは、いまの省燃費テクノロジーにおいて基本といえます。

ポピュラーなのは、減速時にだけオルタネーターを作動させることで減速エネルギーによって発電しようというもの。”マイクロハイブリッド”と呼ばれることもあるエネルギー回生システムです。

 

スズキが新型ワゴンRに搭載する発電技術『ene Charge』は、そうしたエネルギー回生技術を、さらに進めたシステム。

加速時にはオルタネーターをできるだけ動かさず、減速時だけ発電するようにしても、発電した分を溜められなければ意味がありません。そこで、ワゴンRに採用する『ene Charge』では、アイドリングストップ車専用の鉛バッテリーにプラスして、充電しやすいリチウムイオンバッテリーを併用しています。

減速エネルギーを利用して発電するだけではなく、充電しやすい蓄電装置をプラスすることで、エネルギー回生全体の効率を上げているというわけです。 

さらに、オルタネーターも高出力タイプとすることで、減速エネルギーからできるだけ電気を生み出そうというのも、「発電」にこだわったからこその選択といえそうです。

ハイブリッドカーでも、まだまだ採用例の少ないリチウムイオンバッテリーを採用するという、まさに「発電」へのこだわりが生んだシステムが、新型ワゴンRの優れた燃費性能につながるキーテクノロジーということなのでしょう。
(山本晋也)

 

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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