歴代インプレッサの中でも、かなりのじゃじゃ馬として知られるGC8D型。
C型までのインプレッサはSTi Versionでも最高出力275psと、当時の自主規制にはわずかに及ばず、そうこうしているうちに、2.0L初の280psモデルはレガシィGT-B(MT)に先を越されていました。
D型となったインプレッサGC8には、レガシィに搭載されたBOXER MASTER-4と呼ばれるEJ20Kへ進化。それまでダイレクトイグニッションだった点火方式も2プラグ同時点火に改められ、点火系の故障も格段に減少しました。
EJ20KエンジンをさらにファインチューニングしたSTI Versionではピストンを鋳造から鍛造モリブデンコートに変更し耐久性を向上させていました。
他にもインプレッサ初の対抗ピストンキャリパーの採用や、トランスミッションの強化等があげられますが、なぜにじゃじゃ馬と呼ばれていたのか?
それはタービンに秘密が隠されていたようです。
GC8C型までは三菱製 TD05Hを採用していたインプレッサですが、D型以降(ワゴンのみD型までTD04L)はWRCでも実績のあるIHI製のRHF5HBに変更されました。このIHI RHF5HBはD型以降のGC8にも採用されているのに、なぜD型だけじゃじゃ馬どっかんターボなのか?
一説によればE型以降に搭載されるタービンのエギゾーストハウジング径が小さくなり、レスポンス重視に変更されたからと言われています。
このじゃじゃ馬仕様に新たに用意されたのは、2ドアモデルのWRX typeR STI Version。
絶版となっていた2ドアモデルのリトナのボディにSTIチューニングを施したエンジンが搭載されただけでなく、typeRA STi Versionのみに設定されていたドライバーズコントロールセンターデフ(DCCD)も装備されており、WRXの快適性とtypeRAの戦闘力を持ったマシンとして登場しました。
このtypeR STI Version、実は他のSTi Versionと違って受注生産モデルだったのをご存知ですか?
某人気漫画の主人公の父親が乗っていたりして今でも人気の高いtypeRですが、2ドアモデル初代にあたるD型ではSTi Versionという名称のみで、バージョン数が付いたのは STi VersionⅣとなるE型以降からでした。
ダッシュボードの形状もE型以降からはフォレスターと共通になるため、インプレッサオリジナル形状のインパネや、高回転型ドッカンターボのD型は人気が高いと言えます。
中でもtypeRはWRX STi VersionⅢとWRXtypeRA STi VersionⅢのいいとこどりをしたモデルな上、受注生産でタマ数も少なく、中でもチェイスイエローのボディカラーは激レアと言われています。ネット上では意外と見かけるGC8D型typeRですが、チェイスイエローにはなかなか遭遇しません。
イエローのtypeRは22B並みのレア車なのかもしれませんね。
(井元 貴幸)