航続距離が短いとか、充電スポットが少ないなど、ネガティブな意見も出ているEVですが、日産リーフのバッテリー量は一般家庭の2日分の電力を持っていると言われています。つまり航続距離としては既存のガソリン車と比べると短いものの、家庭用のバッテリーとして考えると、十分な量があるというわけです。
そしてリーフに溜めたバッテリーを家庭用電源として使えば、万が一の停電でも家庭で電気が使えますし、夜間に充電すれば、お得な電力プランの契約に変更することもできるでしょう。ソーラーパネル等がある場合はそちらで充電すると、電気を買わずに済むこともできます。リーフはクルマですが、従来の移動にとらわれない蓄電池としての可能性も持っているというわけです。
そしてそれを可能にするのが、発売されたばかりのリーフtoホーム。リーフを家庭用の蓄電池にできるシステムです。
このリーフtoホームのメリットは、電力消費、ピークシフトに貢献できると言うことがひとつ。需要の少ない夜間に充電し、消費量の多い昼間にリーフの電気を使えば、コントロールが難しい発電を助けることができます。生真面目と言われる日本人ですから、真夏に節電の為とエアコンを我慢して熱中症になる人が出てくるのでは? という心配がなされているそうですが、この機能があれば気兼ねなくとは言いませんが、必要な電気を使っても大丈夫そうです。
5月30日の家庭用リーフtoホームの発表の場で日産の渡部執行役員が全国で10%の家庭がリーフtoホームでピークカットするとその電力量は450万kWに及び、これは発電機4基分に相当すると説明していて、この夏の節電にも大いに貢献するであろうことが予想されています。
そして自動切り替え機能を付けておけば、いつリーフに充電するのか、リーフから電気を使うのかなど任意に設定できますから、明日はリーフで出かけるから家庭への給電はしないでおこうといった使い方に併せたプランも実行できます。
そうそう、通常200Vで8時間(空から満タンまで)かかる充電ですが、このリーフtoホームというEVパワーステーション機能を設置すると、半分の4時間で充電できるようになります。電力会社とのアンペア契約とか、そういった条件を加えることで、夜間電力を上手に活用。お財布に優しい契約にすることもできるのです。
つまりメリットのもう一つは環境だけでなくお財布にやさしいということです。これは日産の試算ですが、昼間に使う電力をリーフから供給した場合、1日で213円お得になるそうです。
1日辺り213円じゃ、ホントにお得なの? とお思いでしょう。ですが、クルマを使う日もあるでしょうから、年間248日のリーフからの供給と仮定します。ですが、1年で5万2,700円。国の補助金を受ける場合の必要保有期間の6年であれば、なんと約31万円の節約になるのです。
リーフtoホームは、ピーク時の電力消費を抑えられて、かつ、お得な電力プランに移行でき、それでいて必要な電気を気兼ねなく使うことができるというわけです。
また7月3日に日産自動車と大阪府、大阪市が共同で記者会見を行ない、大阪府に在住する個人、介護指定事業者、法人を対象にリーフとリーフtoホーム250台を無償貸与することを発表しました。
応募期間は7月3日16:00から16日18:00まで。
応募先は「日産リーフで節電アクション」事務局へ申込み
事務局連絡先 0120-86-6623(フリーダイヤル)
専用ウェブサイト http://setsuden-leaf.jp/osaka
となっています。
EVはクルマとしての機能だけでなく、新しい可能性を秘めているというわけですね。
■LEFE to Home(日産自動車)
http://ev.nissan.co.jp/LEAFTOHOME/
(佐藤みきお)