14日から東京ビッグサイトで開催されている「東京おもちゃショー2012」には、トヨタから親子で楽しむコンセプトカー「Camatte(カマッテ)」が出展されています。カマッテってどんなクルマなのか、細部を見ていくことにしましょう。
トヨタのリリースによると、「クルマを走らせ、カスタマイズし、語り合う楽しさを、親子が一緒に体験することにより、クルマが持つ『夢・楽しさ』を幅広いお客様に伝えることを目指したコンセプトカー」と書かれています。要するに、親子で一緒にクルマを作り、そのクルマで一緒に楽しく走るということです。
スペックは、全長2700mm、全幅1300mm、全高1200mm、ホイールベース1800mm、乗車定員3人なので、軽自動車よりも小さいことになります。モーターやバッテリーが後部にあり、エンジンで言うと10馬力程度の力を出せるそうです。最高速度は60km/hまで出ますが、カマッテは40km/hぐらいに抑えているとのことです。
外観は、「Camatte そら」と「Camatte だいち」の2種類があり、比較的オーソドックスなそらに対し、だいちはバギーのようなスタイルになっています。ボディの何ヵ所かにネジのようなものが見えますが、これを回すことでボディのパーツが外れ、両者を着せ替えることができます。ちなみにデザインは、まずはこの2タイプということでこれ以外にもプランはあるそうですし、実際に市販するとなれば色は選べるだろうとのことです。
クルマへの乗り降りは、フロントウインドとサイドウインドを含むルーフ全体をガルウイングのように上へ跳ね上げる方式で、遊園地のゴーカートのように上からドカッと乗り込む形になります。ただ、そのドア(?)の形状からも分かるように窓を開けることはできず、サイドウインドの一部を開けて換気します。
そうなると気になるのが快適装備ですが、エアコンやオーディオなどは取り付けられていません。冬はともかく夏は暑くなりそうですが、クルマの目的が長距離移動したり音楽を聴きながら走ったりすることではなく、バッテリーの容量にも限りがあるのでこれはこれで良さそうです。
インテリアに目を移すと、BMWマクラーレンF1 GTRと同じようにフロントシートが中央にシングルシーターとして配され、その両脇背後にリアシートが2シーターとして置かれています。フロントのセンターシートは、子供が運転する場合に最適のポジションが取れるように移動が可能です。また各シートの距離がすべて50cmで、リアシートに座った親が運転する子供の補助をすることもできます。
ペダルはアクセルとブレーキの2ペダルで、このペダルも子供でも足が届くように手前に移動させることができます。少し気になったのがリアシートの足置き場で、フロントシートの両脇が高くなっているため、足を投げ出すような座り方が要求されます。ちなみにそんな座り方にはなるものの、大人3人で乗ることも物理的には可能です。
メーター類はシンプルで、70km/hまでのスピード表示と、バッテリーのボルト数、方向指示器だけが表示されるようになっています。その右には、モーターのON/OFF、ハザードランプ、緊急停止ボタンがあります。子供が運転中にリアシートの親が危険を感じたら、この緊急停止ボタンを押してクルマを止めるというわけです。
トヨタがあえてこのクルマを東京おもちゃショーに出展したのは、来場者の声を直に聴きたかったということもあったそうで、開発チームがズラリと顔をそろえ自由に話を聞くことができたばかりか、コンセプトカーなのに触れるだけでなく車内に乗り込むことさえできてしまいます。このあたりは市販されているクルマですら乗り込めない、ひな壇の上を回っているだけといったモーターショーとは大違いです。
こんな楽しいCamatteですが、今のところいつから市販するとか、価格はどれぐらいといったことは発表されていません。シートベルトやエアバッグなども含めて最低限の安全性は確保されていますが、公道で走ることは当然ながらできず、テーマパークやリゾート施設の私有地内などでの走行を想定しているそうです。次にお目にかかる時にはどのように進化しているのか、楽しみに待ちたいところです。
■東京おもちゃショー2012
http://www.toys.or.jp/toyshow/
(ジム加納)