CX-5にもRX-7にも感じるマツダのクルマ作りに一貫して流れているものとは?【マツダCX-5試乗 by 斎藤 聡】

マツダというメーカーはとてもユニークなメーカーで、いいクルマを作りたいという欲求とそのための探求心をいつも強く持っている。ロータリーエンジンの開発自体がまさにそれだし、伝説的なヒット作になったロードスターもマツダイズムによって作られたクルマだ。

操縦性の進化で印象深いのはFD3Sといわれる最後のRX-7だ。このクルマは5型まで改良がすすめられたのだが、4型までは旋回スピードを高くするために足回りを硬くする方向にセッティングしていた。ところが280馬力というカタログデータを得た5型は、一転しなやかなサスペンションに変更。パワーをしっかり受け止めるセッティングへと変更されたのだ。

この5型 RX-7は乗りやすく、しかも速いので、依然として高い人気がある。
スポーツカー≠スパルタンでハードなサスペンションを自社のフラッグシップスポーツカーでやって見せた。最近のマツダの操縦性のセッティングで感心したのは、プレマシーからCX-5に続く操縦性の味付けだ。比喩とかたとえ話でなく、セダンタイプの乗用車に乗っているのと同じテイストの運転感覚を持っているのだ。

車高が高いのに腰高感がなくハンドルを切りだすと出来のいいセダンの動きでスイーッと曲がってくれる。この味付けがすごいのは、一人のテストドライバーのチューニングのたまものではなく、普遍性のあるセッティングノウハウ(レシピ)として、設計に盛り込むことができるようになったこと。つまり車種が変わってもその味付けを与えることができるのだ。

そのためには理想とするリアルな走りのイメージがあるわけなのだ。完成したクルマを、それらしく味付けするのと、設計段階から走りをイメージしてクルマを作るのでは、出来上がったものは似ているかもしれないが、まったく別物なのだ。マツダのクルマ作りには、そんなこだわりが感じられる。

(斎藤 聡)