レクサスの新しいおもてなしは“気づかせない”こと。運転がうまくなった気がするレクサスNew GS~その1~【Lexus New GS Test Drive】

幸運は忘れたころにやってくる。抽選で当たったレクサスGS試乗会に参加するため、富士スピードウェイ内の交通安全センター、モビリタに行きました。
この試乗会は、めでたく当選したレクサスオーナーあるいはオーナー予備軍を集めて開催されました。そこでは、モビリタの施設を使ったGSの試乗だけじゃなく、なんとコンペティターとの比較までできたのです。

メニューは以下の5つ。

1.オープニングプレゼンテーション
コミュニケーションセンター1FホールでNew GSの紹介ビデオ上映、開発者からの説明、インストラクターの紹介がされました。またこの場所は待機場所にもなっていて、飲み物、軽食、御殿場の地場野菜をふんだんに使ったクラムチャウダーが用意されていました。当日は雨模様で気温も低かったのでありがたかったです。

2.セーフティードライブ・エクスペリエンス
直線低ミュー路、ワインディング低ミュー路で、滑りやすい路面での車両コントロール性能の違いを比較体感する。使用車両はGS350 “F Sport”とBMW 528i。待ち時間には、コース内管制塔で暖かい飲み物をいただきながら、開発者との質疑応答ができました。

3.ハイブリッド・ドライブ・エクスペリエンス
周回路の半分を使いハイブリッド独自の加速感を比較する。使用車両はGS450h、BMW Active Hybrid 7L、メルセデス・ベンツSクラス・ハイブリッド・ロング。GS450hはEVモードでスタート。30km/h~40km/hあたりまではモーターだけで走行できることを確認し一旦停止。合図にしたがってアクセルオン、50km/hまで加速し35度バンクに突入。バンクを抜けるとしばしストレートを加速してハイブリッドならではの力強い中間加速を体験。Sクラス・ハイブリッドの真髄を確かめようとしましたが、リミッターがセットされていたため80km/h以上は出せず残念でした。

4.スポーツ&ノーマル・ドライブ
フラットコースで、快適性、心地よい操作感など基本性能の高さを比較しながら走行。使用車両はGS450h “F Sport”、BMW 535i、メルセデス・ベンツE350。30km/h低速スラローム→ダブルレーンチェンジテスト(50km/hまで加速し、正面にある左右の信号どちらか青になった方に急ハンドルでレーンチェンジする)→中速コーナーリング(右・左・右)→40km/hからのスムーズな加速→ストレートで100km/hまで全開加速→急制動→路地を想定した狭小クランクを走行。ドライブに関係なさそうな狭小クランクは、低速走行時におけるLDH(レクサス・ダイナミック・ハンドリング)の効果を体感するためにありました。低速域では、DRS(ダイナミック・リア・ステアリング)によって最大の逆位相(前輪とは逆向き)に切られる後輪と、VGRS(ギヤ比可変ステアリング)によって、少ないステアリング操作で狭い道を楽に小回りできることを確かめることができました。このシステムのおかげで、最小回転半径が5.3mから5.1mに減少します。

5.レクサス・ラインナップドライブ
富士スピードウェイ内の外周路をレクサス車で走行する。使用車両は、GS250と、GS250 “F Sport”、LS600h、LS460、IS-F、IS350 “F Sport”、IS350C、HS250h、CT200h “F Sport”、CT200h、RX450hの中から選んだ1台の計2台を試乗できました。

ドライブメニュー以外に、世界初の竹を使ったステアリング“Takumi”やレクサス・オーナーズデスクの使い方の説明を受ける時間もあり、試乗が終わった後には開発者へ意見を言ったり、質疑応答の時間が設けられたりと、盛りだくさんな2時間でした。質疑応答では、「旧型では、低速域での回生ブレーキと油圧ブレーキの境目に違和感があったがこれにはない」というオーナーならではのコメントや、「ダンパーとバネを分離するのはなぜか?」といったクルマ好きらしい質問も出ました。


試乗していて最も感銘を受けたのはやはりLDHです。というか、あとからLDHのおかけだったと気づいた理解したというのが正直なところでした。
「いじわる試験してください」と言われ、直線低ミュー路からワインディング低ミュー路が始まる左コーナーへ、ステアリングを切りながらノーブレーキで進入し、コーナーに入ってからブレーキを踏み、今度は右にステアリング切る。しかしそんな操作だとクルマは当然滑るし、何よりアンダーステアになり曲がりきれずコースアウトしてしまうし、状態によってはスピンしてしまいます。しかし「もうアカン」と思ったそのとき、なぜかクルマは右コーナーを普通に抜けていきます。あれ?次に現れる、危険物に見立てた噴水を急ハンドルでよけた時も、乱れることなくスピンすることもなく回避できました。あれ?特に何か特別なことをしていないのに何となく無事に通過しました……

濡れたカーブにノーブレーキで突っ込んで行くのは怖かったですが、一度無事に過ぎると怖さはなくなります。何があっても適当に何となく無事に通過できる気になります。運転がうまくなった気になります。クルマとしてはすばらしいと思いますが、感覚が麻痺した後に、このような装置がついていない、あったとしても効果が異なる(実際、比較したBMWとはずいぶん違った)クルマに乗り換えたときに危険なことにはならないかと、ふと心配になりました。そのあたりのことを担当者にぶつけてみると、「ずっとレクサスにお乗りになれば、そのようなことにはなりません」とのことでした。

ハンコを押すことをためらっている人はもちろん、押す気がなかった人も勢いで押してしまうかもしれない、とても魅力的で”危険”な試乗会でした。

レクサス車の詳しいスペックはこちら。
http://lexus.jp/models/gs/index.html

(Autanacar)