「ユーティリティと走りの両立」【歴代ステップワゴンを振り返って】


いよいよ春爛漫、観光シーズンの到来ですね!
近年、週末の観光名所やレジャー施設の駐車場には、ミニバンがズラリと勢揃い。新旧の和製ミニバンが集う様は、まるでミニバン品評会みたい。
大きく開いたスライドドアからチビッコが元気に飛び出してくる姿は、いつ見ても楽しいものです。

そんな和製ミニバンの元祖といえば、オブラディオブラダと「こどもといっしょにどこいこう~♪♪」のCMで登場したホンダステップワゴンでしょう。
以前、clicccarでも紹介しましたが、このところクルマ雑誌でもステップワゴン・マイナーチェンジの話題が取りざたされています。そこで、ここでは歴代ステップワゴンを振り返ってみたいと思います。

初代ステップワゴンは、1996年に誕生しました。まさに「乗用車をベースにした5ナンバー・FFミニバン」という方程式を確立したクルマでした。
スライドドアと2列目がクルリと回転して3列目と対面する「回転対座シート」、さらには本当に平らになる「フルフラットシート」の組み合わせが画期的でした。
特に回転対座シートは販売比率で約7割を占める大ヒットを飛ばしました。


2代目は2001年に登場。初代のキープコンセプトながらボディ剛性を飛躍的に向上させ、操縦安定性や静粛性等を改善してきました。
また両側スライドドアを備えたライバルが登場してきたため、片側スライドドアのステップワゴンは苦戦を強いられましたが、ミニバンとしての完成度が評価されて堅実な販売実績を上げました。またラギッドなイメージのスパーダは、この2代目からでしたね。


さて2005年に登場した3代目で、ホンダはやってくれました!
背高で走りに不向きなミニバンなのに、低床・低重心化を徹底して「走り最優先のミニバン」に仕立ててきたのです。
個人的にはルックスの第一印象は「やってもうた!」でした……ファミリーカーなのに跳びすぎだと思いました。室内も先代並みの容量ながら、背が低いせいか小柄に見えましたし……。
しかし、試乗してから印象が一変しました。ミニバンの全高や体積を全く感じさせない爽快な走りは、いかにも「ホンダらしい走り」そのものだったのです。根強いファンがいるというのも大納得です。


現行型の4代目では「先祖帰り」したかのような、ユーティリティ優先の箱型シルエットになりました。
ただし、ただの先祖帰りではありません。先代の低床・低重心を引き継いで、走りとユーティリティを両立したミニバンに仕上がっているのですね。そういう意味では、歴代3代分のDNAが詰まっていると言えそうです。

ステップワゴンは、ミニバンNo.1に躍り出た日産セレナと販売合戦を展開しています。
来月マイナーチェンジでどういう新しい魅力を備えているか楽しみです!

(拓波幸としひろ)