ツインリンクもてぎという限られたクローズドのコースでのみですが、久々に動かして楽しいクルマだと感じました。
サーキットで走らせると、ノーマルのクルマってかなりのスポーツカーでないと「なんだただの移動の手段なんだな」と感じちゃうことが多いんですが、BRZくらいなら、走らせて楽しめる感じがします。
エンジンは1種類で、NAなので非力なのでは?と予想しますが、もちろんハイパワー指向のターボ車のようなグイグイグイという加速ではありませんが、NA2リッターとしては思った以上にパワーがあるように感じられます。
それも、回さないと速くないようなイメージでなく、いわゆる下から上まで気持ちよく回ってくれて、トルクの段付き感はないけれど、高回転になればそれなりにパワーもキチンと出ているように感じられます。マニュアルのシフトチェンジをさぼっても、ぜんぜん走れちゃいます。レッドゾーン近くまで回すとタコメーターの中に赤いランプが点滅するそれらしい演出もいいですね。
でも、ホントにサーキットなどで速いエンジンとは少し違うかも知れません。街中やちょっとした峠などでの気持ちよさを狙ってると思います。
マニュアルはシフトフィールにもこだわった部分で、こういうコンセプトのクルマなら、ぜひマニュアルを!と言ってもいいんですが、意外なほどATも捨てがたいものがあります。シフトダウン時にブリッピングして回転数を合わせてくれ、スポーツモードにすると自分の技量が上がったかのように走ってくれちゃいます。
乗り心地は、一般の道路のように状態が悪いところを走っていないので何とも言えないんですが、少なくともガツンと来るような兆候はないし、サスストロークも十分にある感じで、フロントシートでは助手席でも文句はないでしょう。シートのできもいいと思いました。
BRZにはサウンドクリエーターというエンジン音を車内で感じさせるように同期させる機構があります。これは、スポーティなサウンドを轟かせると、車外での加速時騒音規制に通らなくなってしまうため、極力排気音などは抑えているんですが、それじゃ、車内でつまらない。そこで、吸気管の途中からその圧力変化を車内に響かせるもので、アクセルを踏み込んで盛んにエンジンが空気を吸うと、「ブォー」というエンジン音の一部のようなイメージの音が聞こえてきます。この装置の存在を知ってから運転してしまったので「ああ、あれの音ね」と多少気になりました。「お心遣いはうれしいんですが、そこまでやっていただかなくても・・・」程度ですが。これはぜひ試乗して確かめてみてください。
BRZに乗って、改めて、重心が低くFRというのが、クルマを自分の感覚に近く動かすのに適しているのを再認識しました。我々アラフォー以上には懐かしさもプラスして気持ちいいと感じられることでしょう。けれど、こういうクルマに乗ったことのないとくに若い人たちにはどうなのかな?とも考えてみました。「ふーん。で、どこが違うの?」というのか「きもちいいっすね。こんなクルマがあるだぁ」というのか。感受性の問題もありますが、後者が多いことをなんとなく祈りたいですね。
(小林和久)
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