トヨタの次世代環境対応シナリオ全貌が見えた! 【クルマ未来博2011】

愛知県主催、トヨタ自動車、三菱自動車の後援でニューモビリティ博覧会(クルマ未来博2011)が愛・地球博記念公園で開催されました。

30社が出展、会場には46台の次世代自動車が展示され、5000人以上の来場者で大盛況。EVや電動スクーターなどの次世代自動車に関連する技術を一般ユーザーや自動車関連企業向けに公開することで、将来の自動車社会を考えるきっかけ作りになることを目的としているそうです。

今回のイベントではトヨタ自動車の技術統括部松本主査による基調講演やゲストパネラーを迎えたシンポジウムも併催され、自身も3時間ほど聴講。パネリストにはカーライフ・エッセイストの吉田由美さんも参加。女性目線でのクルマとの関わり方やニューモビリティへの提案などが語られていました。

今回トヨタが基調講演で公表した次世代環境対応を以下にまとめてみました。

●次世代燃料として電気・水素・バイオ・天然ガスなどが有るが、どれも一長一短が有る。国・地域でエネルギー政策が異なる事もあり、一つには絞れない。
●EV用のリチウムイオン電池の課題は高価、且つエネルギー密度がガソリンの1/50しか無い点。HVシステム同等の性能を得るには膨大なリチウムバッテリーを積む必要が有る。
●トヨタは日常の使用(通勤・買物)はEV走行、レジャーなど遠出にはHVとして使えるPHV技術をHVに次ぐ次世代環境車の柱に据えている。
●EVについてはまず近距離用途のシティ・コミューター(iQクラス)から導入予定。現在日米欧で走行実験中で、2012年に市場に投入予定。
●PHV車を一般ユーザーを対象に25台、3ヶ月間貸し出してモニターしてもらった結果、平均燃費は約45㎞/L。小まめに充電したユーザーの中には250㎞/Lを達成したり、3ヶ月間で3500㎞を無給油で走りきったケースなどが見られた。
●石油消費削減効果を検証結果、HV:-50%、PHV:-74%、EV:-75~88%となった。この結果からも航続距離で圧倒的に有利なPHVの省エネ効果が伺える。
●年初に発売予定のプリウスPHVの車両価格は300万円程度。世界販売目標5万台/年。現在、政府と交渉中で、補助金が40万円出れば実質260万円程度の価格に。
●リチウムイオン電池に代わる次世代の革新電池(全固体電池、金属空気電池)を2年前から大学とコラボしながら開発中で、これが完成すれば電池の小型・高出力化が可能に。
●FCV(燃料電池)技術は560㎞以上を水素無充填で走り切れるところまで到達している。ネックだった低温時の始動性も-30℃までOKに。2015年には発売可能。但し1000万円弱とまだまだ高価。

一方、会場には各種EVやパーソナル モビリティー が展示されていましたが、目を引いたのはグッドデザイン・フロンティアデザイン賞を受賞したパーソナル モビリティー 『XFV』のコンセプトモデル。

以前にトヨタが開発した『i-unit』の発展形モデルで、乗車人数や走行速度によってホイールベースとトレッドを連動して同時に変化させる事が可能なユニークな構造を採用しています。

トヨタ自動車のパーソナルモビリティ 「i-unit」

このニューモビリティの提案者は元トヨタ自動車のデザイン部長で現在は国立名古屋工業大学・大学院教授の木村徹氏。ご自身でデザイン研究所も経営されています。

クリッカーの取材にもにこやかに対応して頂けました。ありがとうございます。

今後のクルマの環境対応への方向性や次世代車の姿を垣間見ることができる興味深いイベントでした。

こちらも併せてお読み下さい。 https://clicccar.com/author/avanti

(Avanti Yasunori )

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引用画像リンク

http://ameblo.jp/epovelo/entry-11087112151.html
http://www.kimurabo.com/

この記事の著者

Avanti Yasunori 近影

Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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