日本のTPP(環太平洋連携協定)交渉への参加が大きな議論を呼んでいます。製造業の中でも強く参加を要望していた日本自動車工業会の志賀会長は、歓迎の意を示すと共に早期実現に向けて政府の積極的な取り組みを要望した模様。
その背景は韓国勢がウォン安や欧米とのFTA(自由貿易協定)締結などで攻勢をかけており、米国が韓国車に課している2.5%の関税も5年以内を目処に撤廃される見通しで、日本がTPPに参加しないと日本車への課税が続く事になるからだそうです。
しかしよく考えてみると、既にトヨタなど大手カーメーカーは早くから現地生産を展開しており、関税のかかる日本からの輸出に頼らず、現地生産、現地調達率を上げてコストダウンにも取り組んでいる訳で、本件には少なからず違和感を覚えないでもありません。先日フルモデルチェンジした米国生産の新型カムリも予想以上に販売が好調のようで、引き続き米国で人気のようです。
一方で米国企業は今回の日本のTPP参加表明をどう受け止めているのでしょうか?
ニュースによると、米の自動車大手3社でつくる業界団体「米自動車通商政策評議会」が11日、日本がTPP交渉に参加することに反対する声明を発表したようです。
マット・ブラント評議会代表は米自動車産業はこれまでのリストラで国際競争力を強化し、雇用創出などで米経済の回復の先導役を果たしており、日本のTPP参加はこれまで の努力を危険にさらすとの警戒感を示しているとか。他にもミシガ ン州知事も同様の反応。
日本国内でもTPPが「外国企業の参入障壁の撤廃を目指す国際協定」である性格上、利害関係が発生する農業、銀行、保険、医療などの各分野から参加反対の声が上がっている訳ですが、殆ど国会での議論も無くハワイで開催されるAPECに参加する事になった為、大きな波紋を呼ぶ結果となっています。
TPPに9ヶ国が参加しているとは言え、実態としては中国やロシアなどの大手は参加しておらず、経済規模から言えば、結果的に日米2国間交渉同然で、日本側は従来以上に輸入における門戸を開かざるを得なくなる為、予断を許さない状況になっているという訳です。
以上のようにまだ震災復興途上にも拘わらず、参加メリットが今ひとつ不明確で、且つ国内や更には米自動車業会からも批判を受ける中、日本の代表自らがTPP参加 を急ぐ理由とは?
良い交渉結果が得られなかったからと言って、後から撤回が許されないとの噂も有るようで、今後の交渉推移が大いに注目されます。
こちらも併せて御覧下さい。 https://clicccar.com/2011/11/06/78500
(Avanti Yasunori )
【画像がすべて見られない方は>>> https://clicccar.com/80797 】