「カートレイン」って知ってますか?

自分の車やバイクごと列車で目的地まで運んでもらえたらこれほど楽なことはないですよね。海外ではフェリートレインなどの例はあるのですが、実は日本にもかつて存在していたのを知っていますか? それが「カートレイン」。

 日本の「カートレイン」はブルートレインとして有名だった寝台特急用の客車に、自動車を積載する貨車を連結した編成で、1985年に汐留〜東小倉を結んだ列車が最初。後に「カートレイン九州」と呼ばれることになる同列車は、運転開始当初は大人気でなかなか指定券が取れなかったほどなんです。

後に札幌市の白石まで行く「カートレイン北海道」(写真)、名古屋〜東小倉の「カートレインユーロ名古屋」も運転されていたのですが、1990年代に入ると乗客が減少して廃止されることに。廃止の理由のひとつは積載可能サイズにもあるようで、全長4,600mm×全幅1,600mm×全高1,900mmに限られていたんです。90年代に大流行した3ナンバー車積載できないし、5ナンバー車でもハイソカー全盛期。実際に積載が可能な車が少なくなっていたのも理由かもしれないですね。

 北海道では冬季の路面凍結時の需要を狙って「カートレイン釧路」や「カートレインさっぽろ」を運転していました。その際に車を自走して積載できるように貨車の連結部にシャッターをつけて改造するなどの努力をしましたが、結局根付かずに廃止されています。ちなみに従来は乗用車を乗せたパレットを横からフォークリフトで載せていたのですよ。

もしJR在来線の車体が新幹線サイズだったら、「カートレイン」が根付いていたかもしれないですが、ブルートレインそのものもほとんど壊滅的な現状を考えると、飛行機で北海道や九州に行ってレンタカーを借りて動く方がやはり現実的ということなのでしょうか。

 

 一方1986年からは、夏の北海道へのバイクツアラーを狙って上野〜函館に「MOTOトレイン」、大阪〜函館に「モトとレール」(写真)も運転されていました。こちらは荷物車にバイクを積載するもので、積載するバイクは125cc以上に限定されていましたが…。こちらは割と人気があって1998年ぐらいまで運転されていたんです。また1986年の1年限りでしたが関西から長野へ向けて「バイクトレインちくま」も運転されていました。

 

北海道ツーリングをしたライダーには利用した経験のある人もいるのでは? いずれにしても国鉄末期のアイデア商法も、時代に合わなくなったり、JR同士の様々な大人の事情もあったりして消えていったようです。現在も青函トンネルを使ったフェリートレイン構想もあるらしいのですが、やっぱり現実的ではないようですね。

(ぬまっち)