霊場恐山で私が怖いと感じないワケは?【車中泊女子の全国縦断記】

恐山
晴天に恵まれた霊場『恐山』

2011年7月13日(火) 晴れ 30度 暑い!!!
先日の青森市内よりはいくらか涼しい下北半島にある霊場『恐山』(おそれざん/おそれやま。入山料¥500)に、お参りしてきました。
高野山、比叡山と並ぶ日本三大霊場のひとつ。下北半島国定公園に指定されています。

 

恐山と言っても「おそれざん」という山はなく、釜臥山、大尽山、小尽山、北国山、屏風山、剣の山、地蔵山、鶏頭山の八峰を含む外輪山の総称です。阿蘇山とおなじですね。
地理でいう恐山山地とは下北半島のまさかり部分にある山地全体を指すので、いわゆる『霊場 恐山』とは区別されているそうです。
あたりには硫黄臭が立ちこめているのですが、九州の硫黄臭とはちょっと違う感じがします。よりタマゴの黄身臭が強いというか。

本坊はむつ市田名部にある曹洞宗円通寺で、開山は貞観4年(862)。開祖は天台宗を開いた最澄の弟子である慈覚大師 円仁(えんにん)です。
「東へ向かうこと三十余日、霊山ありその地に仏道をひろめよ」との夢のお告げに従い、諸国を行脚して辿り着いたのが、ここ恐山であるといわれています。
元は天台宗の修験道場だったのですが、いったん室町時代(1457)に廃れたものの同じ室町時代(1530)に再興され、以後、曹洞宗の寺として栄えました。
地蔵殿にはご本尊である延命地蔵菩薩が安置されており、本堂内には東日本大震災で被災し亡くなられた方の供養碑も安置されていました。

中には『古滝の湯(こたきのゆ)』『冷抜の湯(ひえのゆ)』『薬師の湯(やくしのゆ)』、『花染の湯(はなぞめのゆ)』の4つの温泉があり、無料で自由に入る事ができます(花染の湯は宿坊専用)。
白濁した硫化水素含酸性緑ばん泉で、古滝の湯は胃腸病などに、冷抜の湯は神経痛・リウマチなどに、薬師の湯は眼病などに、花染の湯は吹き出物・切傷などに効能があるといわれています。
昔は、まずこの温泉で身を清めてからお参りしたそうです。
前回チャレンジしてみたのですが、お湯が熱過ぎて、かけ湯だけして出てきてしまいました。
今日は気温も暑いし相変わらずお湯も熱々だったので、手だけ入れて断念。

少し高台の山の中腹にある『奥の院』には建物はなく、不動明王像が鎮座するのみです。
木漏れ日の中、ちょっとしんみりしてしまう静けさでした。

また戻って木陰もない炎天下の中、大師堂や永代供養塔、八角円堂、お地蔵様や千手観音などの石像の数々を廻っていきます。
この火山岩に覆われた『地獄』では、いたるところに噴気現象や温泉の湧出が見られ、立ち入り禁止の箇所もあります。
蒼い湖面も美しい宇曽利湖畔の『極楽浜』『賽の河原』には風車がカラカラと廻る音と、時折ぴゅうと風が渡る音が荒涼と続きます。
いたるところに石積みの小山が点在し、故人へのお供え物や位牌らしきもの、お花などが置かれていて、ここが霊場であることを物語っています。
供養された方は、どんな想いでここを訪れるのでしょうか。
わたしは不思議とまったく恐いという感じがしませんでした。まるで「よく来たね」って喜んでもらえてるかのように、清々しい気持ちで2時間ちかくも滞在しました。

ところで前回(2006年06月29日)訪れたときは真っ赤だった『血の池地獄』が、綺麗に透明になってました! ぜんぜん“血の池”じゃない!
これも自然現象のひとつなのでしょうか? 不思議です。

ちなみにイタコの口寄せが有名ですが、恐山大祭(7月20〜24日)、恐山秋詣り(10月)以外では、普段からいるわけではないそうです。

(松本しう周己)

【リンク切れ、画像がすべて見られない方は】https://clicccar.com/2011/07/14/42259

この記事の著者

松本しう周己 近影

松本しう周己

高校は美術科を卒業し、印刷会社のデザイン部に就職するも2年足らずで退職してフリーターに。主にコンサート・イベント関係で全国を駆け回る。その後、なぜかウェブデザインの道へ。仕事としては車との接点はまったくないが旅行好きでドライブ好き、20年前から道の駅などで車中泊していた。
「ネットを通して仕事ができれば、どこにいても構わないのでは」と、2005年、ついにキャンピングカーを自宅兼仕事場としてしまった。根は機械オンチなため、日進月歩の日々。
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