トヨタが挑むニュル耐久仕様のLEXUS LFAにはトヨタ紡織製カーボンシートをセット

今週末に決勝が迫ったニュルブルクリンク24時間耐久。参戦5年目のレクサスLFAは、マシンメイクだけでなく、メカニックも社員によるという可能なかぎりの”内製”的な体制で挑んでいるのも特徴です。

 

そして、今年のマシンではレーシングカーとドライバーをつなぐ肝といえるパーツ、フルバケットシートもトヨタグループ内製に変わったとのこと。

 

製作を担当したのは、シートやバンパーといった樹脂パーツの生産で知られるトヨタ紡織。これまでアフターパーツやレーシングシートに関わったことのない同社のチャレンジとして初めてレース専用スポーツシートを開発した、とのこと。

 

レクサスLFAといえば、カーボンボディのスーパースポーツというのも特徴のひとつですが、もちろんトヨタ紡織が開発したフルバケットシートもCFRP(カーボンファイバー)製。

 

高速サーキットでもあるニュルブルクリンクにマッチさせた、座面横のサイドサポートと大きめのヘッドサポートは激しい横Gでのドライバーの傾きを支えてくれるもので、このクラスのフルバケットシートとしては常識的な形状。

 

その一方で、シートベルトを通す穴が大きめなのはデザイン的な特徴といえそう。さらにグラデーションのかかった表皮はトヨタ紡織ならではの個性を主張するもので、クッションの設計にも市販車のシートを作ってきたトヨタ紡織の経験が活かさているとのこと。

 

もちろんFIA(国際自動車連盟)の規定もクリアしているといいますから、ほかのカテゴリーでの使用も可能というわけで、トヨタファンならずとも、市販も望みたくなります。

 

もっともカーボンファイバー製ですから、かなりお高いシートになってしまうのでしょうが……。

 

ちなみに、このフルバケットシートはトヨタ紡織、トヨタ自動車、童夢カーボンマジックの共同開発。市販車のノウハウだけでなく、しっかりとレースシーンでの知見も入れ込まれているのです。

 

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる