名前の通りに、フィットシャトルはフィットがベース。ですからハイブリッド・システムもキャリーオーバーです。ところが、フィットシャトル・ハイブリッドの燃費は60kgも車両重量が重くなっているのに30.0km/l(10・15モード)で、フィット・フィットハイブリッドと同じ。これは何かの工夫がないと出ない数字です。
その工夫はハイブリッド・システム、エンジン、ブレーキの3つでした。
ハイブリッド・システムは制御をより効率化しました。EV走行中の燃料ポンプとイグニッションを停止させるように。逆に言えば、これまではEV走行中もイグニッションは作動、つまり空のエンジン内でプラグから火花が飛んでいたんですね。驚きです。
次にエンジンはクランクシャフトのフリクションを低減しました。具体的にはクランクシャフトオイルシールにテフロンコートを施して、より滑りやすくしました。また、締め付け部を薄くすることで、オイルシールの締め付ける力も弱めています。これもフリクションが少なくなります。
最後はブレーキ。ブレーキにパッドリターンスプリングを採用。V型のバネがブレーキパッドをローターから離れるように力をかけます。ブレーキの引きずりが減るので燃費向上につながります。ちなみに、こういう機構自体は昔からあるものですが、厳しくコストカットするクルマでは省かれることが多いのです。つまり、燃費向上のためにコスト・アップに目をつぶったという格好です。
こうした努力の積み重ねで、フィットシャトル・ハイブリッドは30km/lを達成したわけです。
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<鈴木ケンイチ>
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