6月1日、フィアットから「フィアット500 / 500C TwinAir受注好調」とのリリースが発表されました。発売開始以来、全国のディーラーでは昨年の約2倍の人が試乗を行い、5月第2週までに120台の予約が入ったとか。これは販売するフィアット500の半数にもなるとか。目新しさもあるでしょうが、それだけファンには魅力的に見えたのでしょう。
ちなみにツインエアとは何か? それは新しい革新的な2気筒エンジンのこと。何が革新的かといえば、スロットルバルブを省略するマルチエアテクノロジー(BMWでいうところのバルブトロニック)を採用するだけでなく、それを875ccという小排気量にターボを掛けあわせ(いわゆるダウンサイジング過給エンジン)、珍しい2気筒にしたところ。もちろん、今どきのアイドリング・ストップ機能も搭載。最新トレンドをギュっとひとつに押し込んで、低燃費&ハイパワーを実現したエンジンです。
しかし、好事魔多し! とはよく言ったもの。
なんと、この革新的なエンジンには、今どきではないほど大きな振動が残ったのです。
さあどうする? ここでフィアットというメーカーの底力というか凄みが出ました。
「振動があるけど、それがなにか?」と。
2気筒エンジンなんだから振動があって当たり前というのです。ここがすごい。日本メーカーならば、NV(ノイズ・バイブレーション)はトコトン消すのが当然と考えます。しかし、フィアットは違いました。不快じゃなければ、よければいいんでしょ? というわけです。ちなみに1950年代に生まれた元祖フィアット500のエンジンも2気筒でした。
何を言っているのか? と訝る人もいるでしょう。しかし、乗ってみればフィアットの主張がはっきりと分かります。
低回転ではトコトコと、回してゆくにつれてツブがそろってゆき、高回転では連続音となるエンジン音と振動。これが気持ちいい。そして楽しくなります。
この気持ちよさは、フィアット500ツインエアを試乗した人たちにも理解できたはず。なぜなら、「燃費が良い」からと、わざわざフィアット500を選ぶ人がどれほどいるのでしょうか? フィアット500は運転していて楽しいから選ぶクルマ。好調な受注は、そうしたフィアットの「振動があっていいじゃないの!」という主張をユーザーも認めたことを意味しているのではないでしょうか。
フィアットの公式サイトはコチラ http://www.fiat-auto.co.jp/
<鈴木ケンイチ>