フォーミュラ・ニッポンも「日本発」のハイブリッドへ【フォーミュラ日本】


3月7日に行われたフォーミュラ・ニッポン2011年シーズン体制発表会でハイブリッドを全マシンに搭載と打ち出した。

フォーミュラレースの日本最高峰シリーズであるフォーミュラ・ニッポンは、3月7日の「2011年シーズン体制発表会」において、2012年から“System-E”なる仮称のハイブリッドシステムを全マシンに搭載する方向性を打ち出した。世界的な情勢推移と比べると、やや立ち遅れていた感もある国内レース界が、いよいよ本格的な“パワーソース改革”に向けて舵を切った、と言えそうな動きだ。

この“System-E”については、現段階では「バッテリーをエネルギー供給源とし、ギヤボックスに装着されたモーターを駆動。オーバーテイク時やコーナー脱出時にさらなるパフォーマンスを引き出す」という狙いと概略図(別掲)が発表されているのみ。詳細は今年5月から予定されている実走テストの進行とシンクロして明らかにされていく見込みだ。いずれにしてもガソリンエンジンの動力に、モーターを使ったエクストラパワーを加えることになるわけで、いわゆるハイブリッドシステムの一種。さらに「燃料消費量の削減を目指す」という触れ込みで、レースをより面白くするのと同時に、“日本レース界・発の新技術”として自動車社会全体の発展にも寄与することを目的としている。


最終戦鈴鹿でのスターティンググリッドの様子。ドライバーは石浦宏明選手。

環境・エネルギー面を考えた“パワーソース改革”については、F1で2009年から、ブレーキング時に放出されるエネルギーを回生、エクストラパワーとして用いるKERSが実戦投入されるなどしており(2010年は実質使用禁止となったが、今季から復活)、さらに欧米では昨今、新世代ディーゼルターボの活用や、直噴小排気量ガソリンターボ採用にも目が向いている。現在は2.4㍑V8自然吸気のF1も、2013年には1.6㍑4気筒ターボとなる予定なのだが、日本ではSUPER GT(GT500)とFニッポンという2大カテゴリーでの「3.4㍑V8自然吸気」という共通フォーマットの活用がようやく軌道に乗ったばかり。また、法規制やイメージの問題で、この国ではディーゼルやターボ、小排気量が広まりにくい背景もある。そんなこともあって、欧米流のパワーソース改革には立ち遅れ気味だったわけだが、それなら当面はレース界も日本の得意分野であるハイブリッドで環境・エネルギー面を考えよう、という結論に辿り着いたのは当然至極とも言える、か?

そんな、お国柄による事情も垣間見えなくはないが、「バッテリーに関しては自由競争を企図」ということなので、その方面の業界活性化に繋がるなどの効果も見込まれよう。“日本レース界・発”の新技術に期待したい。


最終戦後に実施された、2010年のシリーズ上位表彰式で、左からシリーズ2位のアンドレ・ロッテラー、チャンピオンのジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ、シリーズ3位のロイック・デュバル。

Photo by T.Endo

(えんとし)