AMGがフランクフルトモーターショーで発表するSLK 55 AMGに搭載する新型V8エンジンについての詳細を発表しました。
その新しい”M152”エンジンの基本設計は S 63 AMGなどに積まれる5.5リッターV8ツインターボと同じということ。
しかし、単なる自然吸気のローパワーバージョンと、軽く見てはいけません。
このM152エンジンは、いまの時代にスーパースポーツが生き残るための提案があるのです。
それが「気筒休止」機構の採用。
すでに停車時にエンジンを止めるアイドリングストップを搭載したスーパーカーは増えてきていますが、走行状態に応じて気筒数(排気量)を可変させる気筒休止システムを搭載したスーパースポーツはまだまだ珍しい存在。
日本ではトヨタやホンダや三菱、アメリカではクライスラーやGMが気筒休止エンジンを市販車に搭載していますが、欧州では珍しい機構。メルセデスにしてもかつてSクラスで片バンク休止エンジンを市販していますが、AMGとしては初めて。
新型SLK 55 AMGは、欧州スポーツカーとして初めての「気筒休止」エンジン搭載といえそうです。
ところで気筒休止で止まるのは2、3、5、8シリンダーということですから、片バンク休止というわけではないよう。
このように気筒休止時にV4エンジン的になっているというのは、ホンダがインスパイアなどに載せている気筒休止V6エンジンと似た部分もありますが、ヘッドの断面図を見る限りはホンダ式の可変バルブシステムを使っているわけではないようです(メルセデスのV12気筒休止エンジンはホンダのパテントを利用したといわれています)。
むしろAMGの発表によれば、この気筒休止システムはF1エンジンにつながるといいますから、いかにもスーパースポーツ用パワーユニットらしいエピソード。
ちなみにAMGメルセデスのF1用V8エンジンは、低速コーナーリング中やピットレーン走行時など状況に応じて4気筒、6気筒に切り替えているとのこと。
もっともM152エンジンでの気筒休止は800~3600rpmの範囲内に限るそうですから、F1のように高回転キープのための気筒休止的な使われ方はしないようで、少々ザンネン。
それにしても、5.5リッター、422馬力のエンジンを搭載しているにも関わらず8.5L/100km(≒11.7km/L)の燃費となり、従来から3割の燃費性能向上というのですから、気筒休止エンジンの環境性能はかなりのもの。もちろん、このM152エンジンはアイドリングストップも装備しています。
これからの時代にスーパースポーツが生き残るには、環境性能は無視できないだけに、この燃費性能は魅力的。
さらに、F1エンジンさながらのコーナリング時の気筒休止制御などを積極的に盛りこんでくれば……「気筒休止」は、まさしく次代のスーパースポーツには欠かせないファクターとなりそうです。
AMG M152エンジン主要スペック
AMG M152 5.5-litre V8 engine
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排気量
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5461 cc
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ボア x ストローク
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98.0 x 90.5 mm
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圧縮比
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12.6 : 1
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最高出力
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310 kW (422 hp) at 6800 rpm
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最大トルク
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540 Nm at 4500 rpm
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エンジン乾燥重量
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187 kg
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パワーウエイトレシオ
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0.44 kg/hp
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【画像がすべて見られない方は】https://clicccar.com/2011/07/23/44684