マツダの新技術スカイアクティブ・テクノロジーですが、高圧縮のエンジンに続いて、ついにトランスミッションが登場しました。
スカイアクティブ・ドライブの外観。
このスカイアクティブ・ドライブと名付けられた変速機ですが、構造は普通のトルクコンバーター(以下トルコン)式ATと変わりません。ところが非常に高効率ということです。
そこでその秘密はというと、タイムラグがなく精密な油圧制御を実現するロックアップクラッチシステムを採用した新開発のトルク伝達機構「フルレンジ・ダイレクトドライブ」と「メカトロニクス・モジュール」にありました。
一般的なトルコンATは、トルコンが変速ショックを吸収してくれるために変速がスムーズですが、液体を継ぎ手に使うためトルク増幅効果はあるもののダイレクトなフィーリングに欠ける部分があります。そのためロックアップという機械的に直結させる機能もありますが、この領域を拡大させるには、振動の抑制や耐久性の向上などが必要でした。
上が従来のクラッチ。下がスカイアクティブ・ドライブの湿式多板クラッチ。
そこでこのスカイアクティブ・ドライブですが、「フルレンジ・ダイレクトドライブ」を採用。トルコンATながら基本をロックアップ状態として設計しており、トルコンながらダイレクトで高効率なATとしたわけです。
具体的にはダンパースプリングのバネ剛性を低減させつつ、ねじるトルクを高めて振動を抑制。さらにクラッチを従来の1枚の板から、4枚の湿式多板に変更。これによって従来の5速ATのロックアップが(10・15モード)49%だったことに対して、なんと82%にまで向上しているのです。
左が従来の5速AT、右が新型ATのメカトロニクス・モジュール。
また、変速スピードを上げるために高性能な「メカトロニクス・モジュール」を採用したことにも注目です。機械装置であるダイレクト・リニアソレノイドとトランスミッションの電子制御装置を一体化したこの「メカトロニクス・モジュール」を搭載することで、エンジントルクや油圧を総合的に制御。素早くスムーズな変速を実現していのです。マツダによりますと、ツインクラッチの機械式ATであるDCTより素早いそうです。
加えて機械加工の本当に小さなばらつきや、使用中の変化や劣化もコンピューターが学習。その単体にあわせた最適な制御をしてくれるので、常に安定した性能を発揮してくれるということです。
またトランスミッション自体も非常にコンパクトなことも特徴です。
メカトロニクス・モジュールはシンプルな一体構造としたことで、
コンパクトかつ低コストに抑えられた。
従来の5速ATが、長さ370mm、幅532mm、高さ382mmあることに対して、この6速ATは349mm、527mm、680mm、重量はどちらも90kgに抑えられています。
新旧ATのロックアップ領域の比較。
そうそう、少々マニア向けの話になりますが、アクセラに搭載された6速ATは、270Nmまで耐えられる設計。今後はディーゼル・ターボや大排気量ガソリン向けには400Nm以上に耐えられるスカイアクティブ・ドライブが準備されています。
それはさておき、是非ディーラーで新型スカイドライブの素早い変速を体験してみてください。ガソリンエンジンの可能性はもちろんですが、トルコンATの進化の予知も、まだまだあるんだぁって、実感できると思いますよ!
変速スピードの比較。近年人気の
DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)よりも素早い変速を実現。
コチラも併せてお読み下さい。
https://clicccar.com/2011/10/24/73386
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(佐藤みきお)