いま注目されているセグメント“プチバン”ユーザーは登録車と軽自動車を横並びで比較して購入していた!!

近年、ファミリーユーザーを中心に“プチバン”の人気が高まっています。
「え? プチバンってな~に??」というアナタに説明すると、ミニバンよりもコンパクトなボディを持ちながらもスペースユーティリティを重視した軽自動車&コンパクトカーのことをそう呼びます。

言葉で言うとわかりにくいかも知れませんが、例えばこんなクルマです。

ポルテ1997年に発表されたトヨタ・ラウムを皮切りに、同じくトヨタのポルテ/スペイド、ダイハツ・タント、ホンダ・フリード/フリードスパイク、N BOX、スズキ・ソリオなどコンパクトなサイズにもかかわらずミニバンの要素を備えるクルマで、近年は自動車メーカーが国内市場で一番力を入れているジャンルといえます。

実際、ラウムの発売当時は1車種だったこのジャンルがいまや16車種まで増えました。
またプチバンについては登録車と軽自動車の区別がないことにも注目してしまいます。

プチバン1

そんなプチバンについて株式会社イードが「“プチバン”保有者1000名調査」を実施しました。
その調査内容を見てみましょう。

 

プチバン2

まず気になるのが、プチバンを購入したきっかけについて。
一番多かったのは「運転が楽なクルマが欲しくなった」(15.5%)、続いて「子どもが生まれる(生まれた)」、「実際に試乗してみて気に入ったから」(ともに14.4%)。
この結果をみると国内市場で進みつつあるダウンサイジング化がプチバンの人気を支えていることがわかります。

 

プチバン3

プチバンを購入したユーザーが満足しているかについての質問にはどの年齢層でも8割以上が満足していると答え、とくに60代は83.35点、20代は82.78点と、満足度が高いと答えています。

 

 

プチバン4

そんなプチバンユーザーは購入時、どのようなことを重視したのでしょうか。
答え全体で1位だったのが「車内が広いこと」(67.2%)、2位が「スライドドアであること」(44.5%)、3位が「運転操作のしやすさ」(44.0%)とプチバンの特長を表す答えが上位を占めました。
この答えの中で面白いのは登録車と軽自動車ユーザーで重視しているポイントが微妙に違うところ。
登録車ユーザーの「スライドドアが電動」、「ウォークスルー」、「普段にもレジャーにも使えること」という答えが軽自動車ユーザーよりポイントが高く、逆に軽自動車ユーザーは「税金や保険などの維持費が安いこと」、「燃費の良さ」、「小回りの良さ」の項目で登録車と大きな差がでました。
同じプチバンユーザーなのに「使い勝手」を重視する登録車ユーザーと、「コスト重視」する軽自動車ユーザーには違いがあることがわかります。

 

プチバン5

この答えに繋がりますが、プチバン購入者の使用目的を聞いてみると、全体的に普段使いを重視する傾向があるものの、登録車ユーザーのほうが普段使いだけでなくレジャー使いにも重視していることが調査結果からうかがえました。

 

プチバン6

プチバンユーザーは購入時に登録車と軽自動車を比較することになるわけですが、購入の際、全体の32.3%(登録車:34.4%、軽自動車:30.3%)が横並びで検討していました。
このなかで、登録車所有の20代の57.6%が軽自動車と比較検討し、軽自動車所有の40代男性が登録車と比較検討していたのです。
このことでわかるのは、コストパフォーマンスや実用性を重視する20代と40代男性が登録車と軽自動車をとくに横並びで比較していた人が多かったということです。

 

プチバン7

また横並びで比較しながら、登録車ユーザーが軽自動車を選ばなかった理由、逆に軽自動車ユーザーが登録車を選ばなかった理由はなんだったのでしょうか。
登録車ユーザーが軽自動車を選ばなかった理由としては、「安全面が不安だったから」(25.7%)、「車両が小さいから」(23.2%)、「室内が狭いから」(22.8%)、「エンジンの性能が不満だったから(加速など)」(20.6%)という点が高く、安全性や広さを重視していました。
一方、軽自動車ユーザーが登録車を選ばなかった理由は、「税金・保険含め、維持費が高いから」(41.2%)、「税金・保険含め、購入時の経費が高いから」(33.6%)、「車両価格が高かったから」(29.0%)といった、コストに関する点を重視しています。

 

プチバン8

自動車ユーザーにとって気になるのが2013年4月から自賠責保険の保険料見直しについて。
また登録車と軽自動車ユーザーが混在するプチバンユーザーは日本がTPPに参加することで軽自動車の税制優遇見直しの動きについてどのように考えているのでしょうか。
保険料見直しについては、「聞いたことがあり、内容も知っている」が10.5%とかなり低く、「内容は詳しく知らないが、聞いたことはある」の35.0%と合わせても45.5%と半数を下回りました。

プチバン9

そして軽自動車の優遇税制見直しの動きについては、「聞いたことがあり、内容も知っている」が7.9%、「内容は詳しく知らないが、聞いたことはある」が34.0%で合わせても41.9%と、こちらも低い結果となりました。

 

プチバン10

さらに自賠責保険の保険料見直しで、軽自動車と登録車の保険料の差額が縮まっていることや日本のTPP参加によって軽自動車の税制優遇見直しなど、税金や保険コスト面での差をなくす動きが購入意向に対し、「非常に影響する」(15.0%)、「影響する」(48.5%)と全体の6割以上が影響すると答えました。
とくに軽自動車ユーザーは「非常に影響する」(21.6%)、「影響する」(50.6%)と影響はより大きいことがわかりました。

取り回しがいいボディサイズながら広い車内を有するなど日本市場にピッタリなセグメントのプチバン。
従来なかった登録車と軽自動車が並列していることなども含めこのジャンルはこれからも数多くの車種が登場することが予想できますが、今回の調査結果からわかるのはプチバンカテゴリー内での車選びに変化が起きてくる可能性があるということです。

(テヅカ ツヨシ)