バンパー一体のグリル。つまりグリルはバンパーでもあります。けっこうカッコいいですね。
初代CLSは、ジャガーみたいなセダンを狙ったように感じましたが、新型は完全にメルセデス・テイスト。SLが欲しいけど仕事に使うにはリアにもたまに人を乗せたいという感じでしょうかね。
FRなのに900mmという長いオーバーハングを持つのが、CLSの外観上の特徴でしょうか。低いグリルと小顔に見せるためのコンパクトなフロントセクションを創ろうと思うと、フロントタイヤから前方のオーバーハング部分を絞り込んでいかないといけません。そのためには、どうしてもある程度の長さが必要になってしまうのです。考えてみればフェラーリのオーバーハングもエンツォをはじめとして458でもかなり長く、そうやってノーズを低くしているのです。
また、このCLSもかつてのメルセデスの伝統として捉えた、盛り上がったリア・フェンダーをデザインの特徴として採用しています。
Cクラスや最新のEクラスも含めて、かなり強引さを感じていた一連のメルセデス・デザインですが、ここにきて何となくその狙いがわかってきたようにも思えます。それは、もしかしたら「アクの強さ」ではないでしょうか。
たとえば日本の街中で最新のEクラスを見たとき、異端なくらいの四角さを強調するヘッドライトなど、見まごうことなくメルセデスだとわかります。またその存在感に圧倒されちゃいます。
もしこれが美しいだけだったら、きっとその存在感はあまり強いものとはならないでしょう。また次にメルセデスを買う衝動を持たせるかどうかについても、このアクの強さがいいのかもしれません。洗練されたざるそばみたいな存在よりも、「よし食べよう!」と思ったときに、どうせ食べるならギトギトのとんこつラーメンみたいな、ここぞという時に選んでしまう強さも必要なんじゃないかな、と考えはじめたこの頃です。
(MATSUNAGA, Hironobu)