【メルセデスAMG GLC63S 4マチック+クーペ試乗】Cクラスベースとは思えない重厚感とポテンシャルを誇るスタイリッシュなSUV

GLCはCクラスをベースとしたSUVです。Cクラスはセダン、クーペ、ステーションワゴン、カブリオレを非常に多くのラインアップを誇るモデルです。GLCはそのCクラスをベースして開発されたSUVで、ユーティリティ性を最重視したGLCと、ユーティリティ性を考慮しながらもスタイリングにもこだわったGLCクーペの2タイプのボディが用意されています。

試乗車として用意されたのはスタイリングも重視されたGLCクーペです。真横からみるとウエストラインから下はタップリとしたボリュームが与えられていますが、Aピラーからルーフラインはなだらかな曲線を描いてリヤエンドまで伸びるスタイリッシュなシルエットを持ちます。ウエストラインから上のグラスエリアはクーペらしい伸びやかな面となっています。

欧州参考値として明らかにされているボディサイズは、全長は4748mm、全幅が1931mm、全高が1584mmでもともと5ナンバーサイズであった190Eに始まる系譜を持つCクラスの派生モデルとしてはかなり大きな印象で、見た目からはEクラスベースなのか? と思わせるほどの重厚さを備えています。

乗り込んでもその重厚さは変わらず、しっかりとしたボリュームとどっしりとした印象が伝わってきます。よく見ればCクラスと共通性の高いインパネまわりなのですが、それを忘れてしまうかのようなしっかり感が伝わってくるのです。

搭載されているエンジンは、4リットルV8ツインターボで、最高出力は510馬力、最大トルクは700Nmというとんでもなく高出力なもの。ボンネットを開けてエンジンを確認すると、Vバンクの間に巨大なターボチャージャーが2器押し込められていて、ポテンシャルの高さを予想させます。

エンジンを始動し走り出すとそのポテンシャルの高さにあらためて驚かされます。以前もコンパクトカーに排気量が大きくパワフルなエンジンを積むという手法は存在していましたが、今はそれがSUVの世界にまで浸透しているのです。

 

試乗時間が少なく、撮影もあったので、じっくりと乗ることができませんでしたが、そのポテンシャルの高さは持て余すほどのものでした。これを本気で走らせたら、そこいらのスポーティカーでは相手にならないでしょう。もちろん、思いっきり走らせるには、日本の公道ではまったく物足りないものとなること必至です。

 

(文・諸星陽一/写真・小林和久)

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諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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