目次
■「非常時給電モード」になって走行機能を停止した状態で給電が可能に!
●野外でのレジャーや災害など緊急時に1500W電源を備えたクルマが活躍
令和元年は、自然災害が猛威を振るった1年でした。9月の台風15号、10月の台風19号はともに激甚災害に適用されるほど、関東地方をはじめとする各地に甚大な被害を与えました。
被災地で悩まされた被害の一つが、停電です。特に台風15号では千葉県内の送電線や電柱の多くが倒壊して、最大で約64万戸が停電しました。現代人にとって、電気のない生活など考えられません。そんな不便な暮らしを強いられた被災地において、トヨタ車が活躍していたことをご存知でしょうか。
トヨタでは、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、燃料電池車(FCV)など23車種で1500W電源を設定しています。最近はその1500W電源を「どこでも電気」と称して、クルマに蓄えた電気を取り出して電化製品に給電できることをアピールしています。
この1500W電源、キャンプやバーベキューといったレジャーユースはもちろんですが、前述したような災害・非常時に有用です。
トヨタ・モビリティ基金では、台風15号の被災地に1500W給電が可能な車両を72台派遣して給電活動を行いました。ちなみに72台の内訳は、プリウスが20台、プリウスPHVが28台、MIRAIが23台、ソラ(燃料電池バス)が1台です。
これらの車両のおかげで、一般家庭では照明や洗濯機、電子レンジ、掃除機など様々な電化製品が利用できるようになりました。また、自衛隊が公民館に設置した入浴施設においては、ソラを派遣して入浴後にドライヤーが使えるようにしたところ、特に女性から好評だっとのこと。クルマから取り出した電気が被災地に笑顔を取り戻すことに貢献したというわけです。
さて、こうした1500W電源を備える車両が普及しつつある昨今ですが、給電システムの使い方を知らないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回、簡単に操作方法をご説明したいと思います。
●AC100Vアクセサリーコンセントの使い方
1:ブレーキを踏みながらパワースイッチを押す
2:「READY」インジケーターが点灯したら、AC100Vスイッチを押す
3:コンセントに電源プラグを差し込む
これは当たり前に使っている方も多いはず。特に難しいことはありませんね。
●非常時給電システムの使い方
1:ブレーキを押さずにパワースイッチを2回押す
2:AC100Vスイッチを3回連続で押す
3:ディスプレイに「非常時給電モード」の説明が表示されたら起動完了
4:コンセントに電源ブラグを差し込む
このモードは使ったことがない、という方も多いのではないでしょうか。スイッチを連続で押すロジックが取り入れられているのは、誤操作を防止するためです。
「非常時給電システム」は、災害時などでドライバーが車両から離れたところにいるような場面を想定して、車両が走行機能を停止した状態でも電力を供給できるようになっています。
駆動用バッテリーの残量が減っていくと自動的にエンジンが起動して、ガソリンをエネルギー源としてハイブリッドシステムで発電を行い、長時間の給電が可能です。ガソリン満タンだと、約4日間も連続して給電してくれるというから、頼もしいではありませんか。
ただ、使い方を知らないと、せっかくの「非常時給電システム」も宝の持ち腐れになりかねません。いざという時に備えて、一度、練習しておくといいかもしれませんね。
(長野達郎)