近い将来とはいわず、すでに2018年時点からトヨタに限らず、単なる自動車メーカーから「モビリティサービス(MaaS)」に転換、あるいは従来以上に注力するメーカーが増えていくのは間違いないでしょう。「MaaS」などで課題のひとつとして考えられるのが、車両のメンテナンスやサービスの維持、管理、そして向上などが挙げられます。
そんな中、トヨタは、配車サービス事業者向けに、トヨタ販売店と配車サービス事業者が共通の情報プラットフォーム上で車両データを共有し、車両管理、保険、メンテナンスなどを一貫して行う、配車サービス車両向けトータルケアサービスを開発したと発表しました。
このトータルケアサービスを、まずはシンガポールのアジア販売統括会社であるトヨタ・モーター・アジア・パシフィック(TMAP)と連携し、東南アジア配車サービス大手のGrab Holding Inc.(Grab/グラブ)が保有する車両1,500台に提供するそう。
TMAPとグラブは、同サービスを段階的に東南アジア全域のグラブ車両へ適用すると同時に、東南アジア地域内のグラブのトヨタ車比率を2020年までに25%引き上げることを目指すとしています。また、グラブは今後、ビジネスの効率化を図るべく、トヨタ生産方式を様々なオペレーションに適用するとのことです。
同サービスでは、車両に搭載された通信型ドライブレコーダーであるTransLogから、トヨタが構築したコネクティッドカーの情報インフラ(一種のテレマティクスサービス)である「モビリティサービスプラットフォーム」(以下、MSPF)に収集される走行データを、グラブとトヨタ、トヨタ販売店が相互に活用することにより、安心、安全な配車サービスが実現できるそう。また、トヨタ販売店では、グラブ車両専用にトヨタ生産方式による高効率のメンテナンスサービスを提供。
走行データの活用では、トラブル時には車両状態を把握することにより、グラブのセンターがドライバーをサポートするとともに、運転挙動を踏まえたドライバーへの各種アドバイスも実施するそうです。
また、トヨタ関係企業である、あいおいニッセイ同和損害保険の現地子会社が走行データ連動型自動車保険を提供していて、安全運転の向上と保険料の低減が可能になるそう。
メンテナンスでは、各車両の走行状況、車両状態に関するデータをもとに、メンテナンス時期の最適化が実施されます。また、トヨタのシンガポールにおける販売店であるBorneo Motors(Singapore)に、トヨタ生産方式のノウハウを駆使した超高効率メンテナンスを実現するICS(Intensive Care Stall)を設置し、配車サービス車両の非稼働時間を短縮するとともに、メンテナンスコストの低減を図るとしています。
(塚田勝弘)