ドアを開ける、そしてシートに腰をおろす──クルマ、とくにスポーツカーにとっては着座の印象がとっても大切なわけです。
ステアリングの位置に違和感はないか?
ペダルは足が自然に届く位置にあるか?
ドライビングポジションは整っているか?
着座位置はやっぱり低いほうがスポーツカーらしさを味わえるし、シートのホールド感やフィット性はコーナリング時の踏ん張りにもロングドライブの疲れにくさにだって大きく影響しますからね。
というわけで、2015年6月末にSTIから300台限定で発売された『BRZ tS』。
このシートが実にいいんですよ。って当然です。何せレカロですから。市販品で言う「スポーツスター」をベースにアルカンターラと本皮を張り、レッドステッチ&レッドアクセントを加えてSTIロゴを型押ししたものが装着されているんですよね。ホールド感なんてまるで競技車両みたいで「本当に市販車?」って感じ。剛性もスゲーと思ったら、フルバケットシートみたいにモノコック構造なんですね。
そういえば、ドイツの過酷なサーキットであるニュルブルクリンクで市販FF車最速の記録を持っていたルノー・メガーヌRSにも装着されていましたっけ、このシート。
早い話が付いていれば一流市販スポーツカーの証だと思っていいシートってことです。
しかし、このシートの優れた部分はスポーツ走行に適した着座感だけではありません。安全性までしっかり考えられているのが、ごくごく普通のバケットシートとは違うんです。
なんとこのシートには「サイドエアバッグ」が組み込まれているんですから驚きました。
もちろん一般的な市販のレカロシートにサイドエアバッグを装着することは出来ません。しかし新車装着であるこのレカロシートにはしっかり組み込まれているあたりが、ワークスチューンらしいポイントといえるでしょう。
もちろん展開するサイドエアバッグの風船は汎用品……ではなくBRZ専用設計。実は純正装着用としてメーカーに供給されるスポーツスターには背もたれ側面にサイドエアバッグ装着用のケースが用意されていて、そこにBRZ専用のエアバッグが畳んで組み込まれているのです。
こういった安全に対する配慮も、メーカー関連会社によるコンプリートカーならではですね。