俊敏なのに極上の乗り心地にうっとり【レンジローバー・スポーツ試乗記01】

車名からヴォーグの名が消えて、「レンジローバー」に続き、オールアルミ製モノコックボディを採用したレンジローバー・スポーツ。先代まではディスカバリーと同じプラットフォームを使っていましたので、正真正銘「レンジローバー」のスポーツバージョンに格上げされたような形になります。

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レンジローバー・スポーツは、全長4855×全幅1985×全高1800mmで、全長5005×全幅1985×全高1865mmのレンジローバーよりも少し短く、低く構えたフォルムが特徴。

ホイールベースは2920mmと同値で、車両重量は90kgほど軽く、最低地上高は10mm低い210mmになっています。

それでも渡河水深限界は850mmに引き上げられていて、悪路走行時に4輪が接地したまま、1輪がどれだけ高い障害物を超えられるか。つまり、車輪の浮きにくさと足の動きやすさをも表す「ホイールアーティクレーション」において546mmと、VWトゥアレグの476mm、アウディQ7の373mm、BMW X5の424mm、メルセデス・ベンツGLの329mmあたりを相手にしない悪路走破性の高さを誇ります。

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まぁ、日本で河を渡る人はほとんどいないでしょうし、雪道や林道、そして好きな人でもオフロード専用コースを走る程度ならまったく余裕綽々のオフロード性能を備えているという、ランドローバー(レンジローバー)ならではの背景を手にしながら、類い希なオンロード走行性能を手にできる方は羨ましい限りです。

今回試乗したのは、3.0LのV6スーパーチャージドエンジンで、「SE」という最廉価仕様。

スペックは340ps/6500rpm、最大トルク450Nm/3500rpmで、「Autobiography Dynamic」が積む510ps/625NmのV8スーパーチャージドエンジンと比べると「遅い方」ですが、アクセルを踏み込めば、「これより速いエンジンいらんやろー」というほど即座にスーパーチャージャー特有のサウンドを響かせながら加速していきます。

しかし、そこは中東辺りのお金持ちも乗るはずですから、スピード感なしに速度計だけが跳ね上がっていくという高級SUVにふさわしいフィーリング。

「SE」には流行のトルクベクタリングは装備されませんが、それでも巨体を感じさせない軽快なフットワークと乗り心地のバランスぶりは、数ある高級SUVの中でも抜きん出ているのが運転席でも後席でふんぞり返っていても実感できます。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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