トヨタ自動車は10日、1963年に豪州メルボルンで生産を開始したTMCA(Toyota Motor Corporation Australia)に於ける車両・エンジン生産を2017年末までに中止すると発表しました。
TMCAでは主力セダンの「カムリ」や「オーリオン(Aurion)」などを生産しており、同工場で働く従業員数は1月時点で約3,900名。
今後、販売やアフターサービス、整備部門への配置転換や転職支援などで最大限、雇用維持に配慮するとしています。
現地生産のメリットが薄れる中、フォードが2016年、GMも2017年に工場を閉鎖すると昨年相次いで発表済み。今回、トヨタが撤退を決めた事で、豪州では自動車生産が無くなることに。
同社は新車販売については継続するようで、日本やアジアからの輸出で賄う模様。
豪州での2013年通年の新車販売台数は約113.6万台で、トヨタのシェアは約2割の21.5万台とトップながらも生産に於ける輸出比率が6~7割と高く、豪ドル高のあおりを受けて輸出採算が悪化。
豊田章男社長は10日午後、メルボルン郊外で記者会見を開き、「厳しい市場環境や豪ドル高、今後、生産規模の縮小が見込まれる事などを踏まえ、厳しい決断をせざるを得なかった」 「これまで50年間にも渡り、多くの豪州の方々にトヨタを育て支えて頂いた」 「今後TMCAは販売会社になるが、豪州のお客様に『もっといいクルマ』をご提供し続けたいという思いは、この50年の間、そして次の50年も何ら変わることはない」とコメント。
ロイターによると、TMCAの安田政秀社長は声明で、「我々は事業変革の為に出来る限りの事を行ったが、現実には我々がコントロール出来ない要素が余りに多い」との見解を示したそうです。
また日経新聞によれば年初に豪州政府が自動車産業など製造業への補助金撤廃を示唆、従来のような支援は期待出来なくなったことが撤退を決めた背景に有る模様。
豪州では製造業に携わる従業員の人件費が米国に比べて30%ほど高い上に豪ドル高が加わり、採算面で豪州で事業を存続させる意義が失われてしまった事がトヨタを含めて世界の大手自動車各社が次々に見切りをつけた最大の理由と見てよさそうです。
■Toyota Motor Corporation Australia
http://www.toyota.com.au/home
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