■長距離走行が可能で、短時間で水素を充填できるFCEVの利点を小型トラックで試す
「クルマの電動化」とひと言で表現しても、国や地域、車種によって異なります。大型車や商用車であれば、なかなか普及していない燃料電池車(FCEV)も有力な選択肢になり得ます。
2021年4月に、いすゞと日野自動車(2022年8月に認証試験不正を踏まえ除名)とトヨタが「Commercial Japan Partnership Technologies(CJPT)」という新会社を立ち上げ、同年7月にはスズキ、ダイハツ工業も参画しました。CJPTでは、カーボンニュートラルの実現も目指すべき課題としています。
そんな中、CJPTは、カーボンニュートラル実現に向けて、水素社会実現の貢献が期待できる燃料電池を積む小型トラックの企画、開発を共同で実施。
小型トラックは、スーパーやコンビニなどでの物流などで使われることが多く、冷蔵、冷凍機能を備えた上、1日複数回の配送業務を担っています。そのため、長時間使用、長距離走行が求められる一方で、短い時間での燃料供給などの条件も満たす必要があります。
そのためCJPTでは、こうした使用環境下では、走行時のCO2排出がゼロで、エネルギー密度の高い水素を燃料とするFC技術の活用が有効であると考えているそうです。CJPTが量販化に取り組んでいるFC小型トラックは、CJPTが企画を行い、いすゞが長年積み重ねてきたトラックの技術とトヨタが持つFC技術を組み合わせた3社の知見、技術を結集。小型トラックに欠かせない性能や条件を満たすモデルとして開発されています。
2023年1月以降に市場導入し、福島県と東京都における社会実装プロジェクトにおいて、パートナーと実際の物流現場で使用して検証されることになります。
このほど、実際の物流現場で商用電動車を活用する社会実装プロジェクトに向けて、東京都にFC小型トラックの導入が開始されています。この社会実装プロジェクトは、実社会での運用を行う研究。その一部が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業「グリーンイノベーション基金事業/スマートモビリティ社会の構築」として実施されます。
参画パートナーである荷主、物流事業者や東京都と連携し、普及に向けたモデル構築への第一歩を踏み出し、CJPTは、これからも商用電動車の本格普及に向けてFC小型トラックを順次導入し、取り組みを加速していくとしています。
(塚田 勝弘)