■おススメのグレードは15インチタイヤを装着した最上級グレード「Z」
2011年に登場した初代トヨタ・アクアは、当時ガソリン車に比べて割高感があったハイブリッド車を車両本体価格169万円からという価格設定により、広く普及させたコンパクトハイブリッドです。
2021年7月に約10年振りのフルモデルチェンジを行い、2代目モデルへと進化しました。2代目アクアのボディサイズは全長4050mm×全幅1695mm×全高1485mmと5ナンバーをキープ。
ヤリスと同じTNGA GA-Bプラットフォームを採用していますが、ホイールベースは2600mmで先代より50mm延長され、後席の居住性が改善されているのが特徴です。高い走行性能実現のために断捨離したヤリスでは室内が狭いというユーザーも、アクアの広さならば納得できるしょう。
搭載されているハイブリッドシステムは、最高出力91ps・最大トルク120Nmを発生する1.5L直列3気筒エンジンとモーターを組み合わせたもの。システム用バッテリーには世界初採用となる「バイポーラ型ニッケル水素」電池を採用しています。
駆動方式は先代が2WD(FF)車のみだったのに対して、現行モデルはE-Fourと呼ばれる電気式の4WD搭載車を設定。燃費性能はWLTCモードで30.0~35.8km/Lを実現しています。
グレードは価格の高い順にZ、G、X、Bの4グレードで、それぞれ2WD車と4WD車を用意し、車両本体価格は198万円~259万8000円です。
全グレードで、最新の予防安全パッケージである「トヨタセーフティセンス」を標準装備。
交差点での右左折時の事故にも対応させたプリクラッシュセーフティをはじめ、高速道路での負担を軽減する全車速追従型レーダークルーズコントロールや操舵を支援するレーントレーシングアシストなどクラストップレベルの運転支援機能を搭載しています。
また、全グレードにオプション装備として、駐車をする際の操作すべてを車両が支援してくれるトヨタチームメイト アドバンスパークや、警報とブレーキ制御で接触回避を支援するパーキングサポートブレーキを用意しています。
今回試乗したのは、車両本体価格240万円のZ 2WD車です。
オプションとして合成皮革パッケージ(6万1600円)、16インチタイヤ&アルミホイール(3万9600円)、トヨタチームメイト&ブラインドスポットモニター&カラーヘッドアップディスプレイ(18万8100円)といったオプションが装着され、総額284万2200円です。
現行型アクアに試乗して、最初に感じたのは静粛性の高さです。先代モデルはハイブリッドのエントリーモデルというポジションだったので、多少の粗さを感じました。しかし、現行モデルではその粗さが消え、静粛性の高さそして走行性能において質感の高さが印象的です。
TNGAプラットフォームの採用により、走行時の前後左右の無駄な揺れがよく抑えられていますし、バイポーラ型バッテリーの採用によってモーターによるEV走行の領域が非常にワイドとなっていることも質の高い走りに貢献しています。
また、走行モードをPOWER+を選ぶと、アクセルを緩めるだけで、回生によって減速度を大きくして、滑らかに減速できる「快感ペダル」を採用。
アクセルとブレーキの踏み替え頻度が抑えられるだけでなく、ストップ&ゴーの多い都市部を意識せずに運転しても30km/L近い実燃費を達成しました。
オプション装備で設定されているトヨタチームメイトは、装着をオススメしたい装備です。縦列駐車や車庫入れなど画面をタッチするだけで、後はシステムが行ってくれるので、心強い装備です。
やや気になったのは、荒れた路面や段差を走行した際のリアサスペンションの硬さです。これはオプションの16インチタイヤを装着している影響もあると思いますが、やや突っ張った感じと入力の大きさを感じました。収束は早いので不快ではないですが、ここは気になったポイントです。
日産ノート、ホンダフィットといった国産コンパクトカーカテゴリーにおいて、最後発となったトヨタ・アクア。アクアの優れた走行性能と燃費性能そして安全性能は、熾烈な争いが繰り広げられている国産コンパクトカーのベストバイモデルと言えるでしょう。
(文・写真:萩原 文博)