■安定した単走の藤野選手
前戦は藤野選手、川畑選手ともに好成績を残し、シリーズチャンピオンを虎視眈々と狙う状況で迎えたD1GP第6戦。会場はD1初の開催となるエビス西コースです。
左手のケガがまだ完治していない藤野選手ですが、土曜日の公式練習からまずまずの手応えを得ます。いっぽうで、川畑選手はフロントのフィーリングに違和感を覚え、攻めた走りができません。川畑選手はフロントの足まわりのセッティングを変更して、日曜日に臨むことになりました。
そして日曜日朝に行われた公式練習。配信される機械審査の得点で、藤野選手は安定したまずまずの点を出しましたが、川畑選手は98点台後半という高得点をマーク。しかし得点にはやや波があり、乗りにくい状態になっているようで、エグゼクティブ・アドバイザーの時田さんも「ドライバーに頼らないといけない状況になってしまった」と心配そうな表情です。
単走本番。藤野選手は練習通りの完成度の高い走りで問題なく単走を6位通過。しかし、川畑選手は1本めは進入速度こそ161.7km/hと高かったものの、角度がつきすぎて戻ってしまい、大きく点を落とします。
2本め、こんどは少し抑えた走りをした川畑選手ですが、進入でドリフトが戻ってしまって失敗。単走敗退となってしまいました。
川畑選手は「ノーコン(※コントロールできない状態)でした。一か八かでやってみたんですけど、八のほうでした。クルマの苦手なところとコースが合わなかったのもあるんですけど、事前のチェックがギリギリやったので、そのへんもあるかなぁと思います。対策する時間がとれなかったですね」と語っています。
■藤野選手がバツグンの後追いを見せる
追走トーナメントに勝ち上がった藤野選手は、ベスト16で日比野選手と対戦。藤野選手は前戦終了時点でランキング3位ですが、5位にいるのが日比野選手です。1本めは藤野選手が先行。進入までにやや離れていた日比野選手は第1ヘアピンで距離をつめて来ましたが、接近ポイントは3にとどまります。
しかし先行の藤野選手のDOSS点が95と低く、日比野選手が後追いながら98点という高得点を出してきたこともあり、6ポイントのリードを許してしまいます。
2本めは藤野選手が得意の後追い。近い距離から同時振り、そして日比野選手に対してビタビタに接近すると同時返しまで見せて接近ポイント8を獲得します。しかし、先行時の得点が低かったことが響いて総得点で逆転できず、敗退となってしまいました。
藤野選手は「先行はスタートしたときに、いつもミラーなんか見ないのに、なんとなく『あれっ? いまパイロンさわらなかったかな?』と思ってミラーをチラっと見たら、『あれ、日比野選手来てないじゃん』って思いながら進入してっちゃったんですよ。それで進入した瞬間に『あ、間違えた』って感じで、DOSS得点がだいぶ低くなっちゃって……」とのことです。
2020年のD1GPシリーズも残るは筑波サーキットでの第7戦・第8戦デュアルファイナルズ(2021年1月30、31日)のみ。
藤野選手はシリーズランキングで2位に浮上しましたが、ポイントリーダーの小橋選手が優勝したため、その差は32ptsに広がってしまいました。しかし、ランキング5位となった川畑選手もまだかろうじてチャンピオン獲得の可能性を残しています。
筑波サーキットは振り返しも多いスピードものる中速サーキットで、スープラのパワーやハンドリングが生かせるはず。審査区間が長くてミスも出やすいので、藤野選手の正確なドライビングがいきてくるコースでもあります。
川畑選手も「なんとか対策をして臨みたいと思います!」とのことなので、ふたりの活躍を期待したいです。
(文:まめ蔵/写真提供:サンプロス/まめ蔵)