雨での奇策も奏功!? TEAM TOYOTIRES DRIFTは2戦連続ポイント獲得【D1GP OKUIBUKI DRIFT】

■天候に翻弄された2連戦

このラウンドでは川畑選手ら通算100戦以上参戦しているドライバーにレジェンドパスが贈呈されました。
このラウンドでは川畑選手ら通算100戦以上参戦しているドライバーにレジェンドパスが贈呈されました。

5月13日(土)・14日(日)の週末、滋賀県の奥伊吹モーターパークで、2023年D1GPシリーズ開幕戦と第2戦が2日連続で開催されました。

TEAM TOYOTIRES DRIFTは昨年と同様、GR86の2台体制。ドライバーも変わらず、チャンピオン経験があるふたり、川畑真人選手と藤野秀之選手です。

このラウンドでは途中から天候が悪化し、難しい戦いとなりましたが、TEAM TOYOTIRES DRIFTは2戦連続でポイントを獲得。次につながる結果を残しました。

●開幕戦は藤野選手が6位入賞

GR86の2台は昨シーズン高い戦闘力を示すことができたため、大きなアップデートは受けずに開幕戦を迎えました。前日の練習走行、第1戦の朝のチェック走行ともに、川畑選手と藤野選手は高い得点を安定してマークしていました。

藤野選手は手堅い走りで高得点をマーク。
藤野選手は手堅い走りで高得点をマーク。

そして第1戦の単走がスタート。Aグループの藤野選手は、まずまずの走りで単走進出確実と思われる98点台をマークします。

しかし、Dグループで走行した川畑選手が、通過指定ゾーンを外したこともあって、1本目の得点が伸びず、2本目にチャレンジできなかったこともあり96.09点どまり。単走敗退となってしまいました。

川畑選手は、「1本目はあれで通せると思ってたんですけど、抑えすぎでしたね」とコメントしています。

川畑選手の単走。少しミスが出てしまいました。
川畑選手の単走。少しミスが出てしまいました。

そして、トーナメントの前に雨が振り出し、ウエットコンディションでの追走となりました。藤野選手は、ベスト16の下田選手との対戦でも後追いでふらつくなどのミスが出ましたが、下田選手の点が伸びなかったこともあって辛勝。ベスト8に勝ち上がります。

ベスト8の対戦相手は、注目の若手のひとりヴィトー博貴選手です。

ベスト8の1本目でヴィトー選手をとらえた藤野選手。
ベスト8の1本目でヴィトー選手をとらえた藤野選手。

1本目はヴィトー選手が先行。藤野選手はまずまずの距離感でついていき、5.5のアドバンテージを得ました。しかし入れ替えた2本目、ヴィトー選手はきれいなコントロールでDOSS(機会審査システム)の点を大きく落とすことなく、より近いドリフトを見せて6.5のアドバンテージをとって逆転。藤野選手はベスト8敗退となってしまいました。

藤野選手は「このクルマ(タイヤが20インチになってから)ほぼウエット走ったことないんで、前に進まなくて、自分の中であれが限界だったんでしょうがないかなという感じでした」とのことです。

昨年、途中でリヤタイヤを19インチから20インチに変更しましたが、その後ほとんどウエット路面での走行がなかったので、セッティングが出ていなかったようです。藤野選手は6位に終わりました。

●第2戦はリヤタイヤを17インチ化で雨に対応

翌日の第2戦は朝から雨。ここで、TEAM TOYOTIRES DRIFTは思い切ったウエット路面対策に出ます。

リヤに17インチタイヤを履いたGR86。
リヤに17インチタイヤを履いたGR86。

リヤタイヤを3インチダウン! なんと17インチに変更したのです。サイズは275/40-17。これは藤野選手が以前ウエット路面で17インチを試したことがあって、そのときに感触がよかったからという理由での賭けでした。

藤野選手にはミスもありましたが、うまくリカバーしました。
藤野選手にはミスもありましたが、うまくリカバーしました。

朝のチェック走行でも17インチタイヤはまずまずの感触で、第2戦の単走決勝がスタートしました。この日はウエットでの競技規則が適用され、全体の得点順位ではなく、各グループごとに上位4名が追走に進出するという形になります。

またしてもAグループだった藤野選手は、振り出しでちょっと引っかかったものの、すぐにきっちり振り直し、むしろコーナーの安定性で得点をかせいで、91.40点でAグループをトップ通過しました。

川畑選手は大きな角度を見せました。
川畑選手は大きな角度を見せました。

川畑選手はCグループ。1本目の振り出しで、少し角度をつけすぎたように見えましたが、振りと角度自体は大きく、91.82点をマーク。コンディションが違うので単純比較はできませんが、藤野選手よりも高い得点でCグループを4位通過しました。

このあと、本来なら追走トーナメントが行われるところですが、雨に加えて強風が吹き、ピットのテントがいくつか吹き飛ばされたため、安全を考慮して競技は単走で終了。追走でさらに上位進出を狙いたかったふたりですが、川畑選手が11位、藤野選手が12位で第2戦を終えました。

開幕戦の本番はミスをしてしまった川畑選手ですが、練習では安定して乗れています。
開幕戦の本番はミスをしてしまった川畑選手ですが、練習では安定して乗れています。

川畑選手は、「スタートで、去年と違って、思いっきりつまずいちゃったんで、次がんばりますっていうのは簡単なんですけど、ちょっとまぁ今の段階じゃ、今日ポイントを取り返そうというふうにしか思ってなかったので、これで終わりだったらもう後は帰って反省するしかないです」。

堅実にポイントを取った藤野選手ですが、もう少し上位に入りたかったのも事実です。
堅実にポイントを取った藤野選手ですが、もう少し上位に入りたかったのも事実です。

また藤野選手は、「今回はウエットのときのクルマのセットをもうちょっと煮詰めておいたほうがいいなということがわかりましたね」とのこと。

次のラウンドは6月24日・25日の筑波サーキット。梅雨の時期のラウンドとなるので、ウエット路面での大会となる可能性もじゅうぶんあります。タイヤの性能をより引き出して、強さを見せつけてほしいですね!

(文:まめ蔵/写真提供:サンプロス、まめ蔵)

この記事の著者

まめ蔵 近影

まめ蔵

東京都下の農村(現在は住宅地に変わった)で生まれ育ったフリーライター。昭和40年代中盤生まれで『機動戦士ガンダム』、『キャプテン翼』ブームのまっただ中にいた世代にあたる。趣味はランニング、水泳、サッカー観戦、バイク。
好きな酒はビール(夏場)、日本酒(秋~春)、ワイン(洋食時)など。苦手な食べ物はほとんどなく、ゲテモノ以外はなんでもいける。所有する乗り物は普通乗用車、大型自動二輪車、原付二種バイク、シティサイクル、一輪車。得意ジャンルは、D1(ドリフト)、チューニングパーツ、極端な機械、サッカー、海外の動画、北多摩の文化など。
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