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■V12フラッグシップ「DBS」の最後を飾る限定モデル
アストンマーティンの誇るV12を積んだフラッグシップスーパーGT「DBS」が生産を終了します。
2022年1月18日、その最後の限定モデルとなる「DBS 770 Ultimate(アルティメット)」が発表されました。アストンマーティン量産モデル史上最強のV12エンジンを搭載した499台の限定モデルは、今回の正式発表を前にすでに「完売」しています。
●770psのV12ツインターボを積む後輪駆動GT
「DBS 770 アルティメット」の「770」が示すのは、ずばり馬力です。本車がフロントミッドに搭載するのは、最高出力770ps/6500rpm、最大トルク900Nm/1800〜5000rpmを発生する5.2リッターV12ツインターボ。これだけ凶暴なパワーを後輪駆動で操ることのできる純内燃機スーパーGTは、いまや超稀少車種といえるでしょう。
DBSの歴史を締めくくる記念碑的モデルということもあり、コレクターズアイテムとしての価値も莫大。クーペ300台、ヴォランテ(オープントップモデル)199台、合計499台の限定生産分が発表前に「売り切れ御礼」となったのも納得です。
「史上最もパワフルなアストンマーティン量産モデル」となる本車の最高時速は340km/h。これだけのパワーを実現するために、吸気および点火系を見直すとともに、ターボチャージャーの最大過給圧を7%引き上げたということです。
組み合わせるZF製8速ATには専用のキャリブレーションを実施。また、V12の猛烈な加速を受け止めるべく、カーボンセラミックブレーキ(CCB)システムを搭載しています。
さらに、強化仕様のクロスメンバーや厚みを増したリヤアンダートレイなど、各部にさらなるテコ入れを実施。全体のねじり剛性を3%向上させています。
●走りも見栄えも磨きに磨きあげた最終モデル
ステアリングレスポンスやダンパーなども含め、走りに関わる部分を徹底的に磨き上げた「アルティメット」は、グランツーリスモとしての特性は維持しつつ、よりダイナミックな運転体験をもたらす仕上げになっているようです。
アストンマーティン最高技術責任者(CTO)のロベルト・フェデリも、「トランスミッション、ステアリング、サスペンション、アンダーボディ構造に対する包括的な一連の改善のおかげで、史上最速かつもっともパワフルなDBSであるだけではなく、最高のドライビングマシンに仕上がっています」と語っています。
空力性能を強化する独特の造形や、カーボンファイバー製のルーフレール、ミラーキャップ、フェンダールーバー、ウインドスクリーン・サラウンドも標準装備。リヤスタイルに迫力を与えるディフューザーも専用デザインになっています。
専用の21インチホイールは、ハイパーカーの「ヴァルキリー」、ワンオフの「ヴィクター」からインスピレーションを受けてデザインされたもの。すべてのホイールには、ピレリPゼロハイパフォーマンスタイヤ(前265/35R21/後305/30R21)が組み合わされています。
インテリアにはキルティングとパーフォレート(穴あき)加工が施されたフルセミアリニンレザーを採用。特注のトリムやテーラーメイドのストラップなど、随所に特別なデザイン処理を与えるとともに、カーボンファイバー製シフトパドルも標準装備としています。
「DBS 770 アルティメット」の生産は2023年第1四半期にスタート。同第3四半期から納車が始まるということです。
(三代 やよい)