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■BMW Z4と同じパワートレインを採用し、ドライブは拍子抜けするほど快適
50代の筆者にとって俳優の舘ひろしさんと聞いて思い浮かぶのが、西部警察での愛車スズキ・カタナです。
しかし、プライベートでは英国車を愛車としているそうです。その愛車の中の1台がモーガンだそうです。
モーガンと聞くと、木製のフレームを使用したクラシカルなスタイルのクルマと想像する人は多いでしょう。ところが、最新のモーガンはフレームの一部に木を使用しているものの、アルミなどの素材も採用するようになっています。
今回は、舘さんも愛する英国のスポーツカーブランド・モーガンの最新モデルである、PLUS FOURのAT車に試乗することができましたので、インプレッションを紹介します。
●BMW製エンジンを搭載
モーガン・モーターカンパニーは1909年に設立され、英国でスポーツカーをハンドビルドしている自動車メーカーです。その100年以上歴史のあるモーガンにおける最新モデルがPLUS FOURです。
2020年6月に日本市場に導入されたPLUS FOURは、ルーツとなる1950年にデビューし、モーガンの屋台骨モデルであったPlus4の後継車に当たります。
先行発売されたPLUS SIXは最高出力340ps・最大トルク500Nmを発生する3L直列6気筒ターボエンジンを搭載したモデルです。一方、今回試乗したPLUS FOURは、最高出力258ps・最大トルク400Nm(8速AT車)を発生する2L直列4気筒ターボエンジンを搭載したモデルで、車両本体価格は1,254万円です。
この2つのパワートレインは、モーガンと長きにわたる関係によりBMWから供給されています。したがって、モーガンPULS FOURはBMW Z4、GRスープラの親戚のような関係といえるかもしれません。
PLUS FOURに採用されているCXジェネレーションプラットフォームは、一部に伝統のウッドフレームを残していますが、接着アルミプラットフォームを採用しています。以前のスチールラダーフレームと比べると、高剛性かつ軽量で重量は97kgと驚異的な軽さとなっています。
このプラットフォームによって、見た目はクラシックカーのようですが、最新のスポーツカー同様の乗り心地とハンドリング性能を実現しています。
モーガンPLUS FOURのボディサイズは、全長3,830mm×全幅1,650mm×全高1,250mm。3Lエンジンを搭載したPLUS SIXと比べると、ボディ中心部において104mm、全体で78mm幅の狭いナローボディを採用。これは、4気筒エンジンを搭載したモーガンは常にナローボディを採用するという伝統を継承しているからです。
PLUS FOURは先代のPlus4の雰囲気を色濃く残していますが、新プラットフォームの採用によって室内と荷室スペースを増やすだけなく、乗降性も向上させたことで、これまで以上に日常使いができるようになっているのが特徴です。
●見た目と違い(!)、じつにスムーズに乗れる
モーガンPLUS FOURを撮影のために借り出すため、実車を初めて見た時の感想は、正直乗るのはハードルが高そうだな…でした。やはり個性的なスタイリング、車両の取り回しなど気を遣いそうだと思ったからです。
しかし、ドライバーズシートに座ると、思いのほかフロントの車両感覚はつかみやすいし、ミラーでボディの両サイドも確認できました。トランスミッションが8速ATであるのも手伝って、拍子抜けするほど快適でスムーズに運転できます。
ただし、後方視界は良いとは言えないので、駐車する際などでは気を遣います。しかし、イタリアの高級スポーツカーなどと比べると、それほど気を遣う必要はなく運転しやすいと言えます。
前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションによる乗り味も、快適そのもの。路面のアンジュレーションなども上手くいなしてくれて、フラットな乗り味を実現しています。
パワートレインはBMW製の2L直列4気筒ターボエンジン+8速ATです。ウッドを使用したインテリアで、シフトノブだけが異質に感じますが、車両重量が1,090kgしかないPLUS FOURには、最高出力258ps・最大トルク400Nmは充分すぎます。
今回は街乗りだけだったのですが、低回転からトルクがあるので、非常にスムーズで快適に走行することができました。きっとワインディングなどに行くと、モーガン本来のスポーツカーの特性が発揮され、楽しくドライブできることでしょう。
0-100km/h加速4.8秒、最高速240km/hという高いパフォーマンスを発揮させることはありませんでしたが、個人的にはモーガンのようなクルマは、ゆったりと駆け抜けるのがオシャレではないかと感じました。
電動化が進むこの時代に、黎明期のクルマの原形を留めたモーガンに乗ることができる。これが、モーガンを所有する最大の歓びなのではないかと感じられるクルマです。
(文・写真:萩原文博)