トヨタ博物館が企画展「Here’s a Small World! 小さなクルマの、大きな言い分」を2022年4月29日から7月18日まで開催

■小型車がモビリティの発展をもたらしてきた歴史と意義をアピール

毎年のようにバラエティに富んだイベントを開催しているトヨタ博物館(愛知県長久手市)は、ゴールデンウィークの2022年4月29日(金祝)から同年7月18日(月祝)まで、「Here’s a Small World! 小さなクルマの、大きな言い分」という企画展を実施します。

筆者もどちらかというと小さなクルマに謙虚さや共感を覚える方で、最近のクルマは、デザインや衝突安全、グローバル化への対応などを理由に、巨大化(肥大化)しています。

トヨタ博物館
トヨタ博物館が企画展「Here’s a Small World! 小さなクルマの、大きな言い分」を開催

日本の道路や駐車場事情というリアルな交通環境が一気には変わらないという実状も踏まえると、諸手を挙げて歓迎…とはいえません。

以前、自工会の豊田章男会長も語ったことがありますが、日本の道路の約84%は、道幅平均3.8mと狭いのが実状です。こうした現状だけでなく、日本のモータリゼーションの発展も小型車抜きでは語れません。

トヨタ博物館は「Here’s a Small World! 小さなクルマの、大きな言い分」の企画展にあたり、「小型であることは、カーボンニュートラルという社会課題の解決に寄与し、また多様化する移動のニーズに応えやすいという点で、SDGsにも貢献すると考えます」と説明しています。

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マツダ R360クーペ KRBB型(1961年)

同展には、国産車を中心に、1950年代から現代までの個性豊かな小型車15台と、約60台のミニチュアカーにより、「小さなクルマたちの大きな存在意義を紹介することで、これからのモビリティ発展の可能性を考えるうえでのヒントとしていただきたい」という想いが込められているそうです。

日本の自動車メーカーは、戦前から日本の資源や道路事情に見合ったクルマを開発し、後にその技術が世界進出への足がかりとなり、現在の自動車大国の礎となっています。

1949年に日本独自の軽自動車規格が制定され、1955年に通商産業省(当時)が発令した「国民車育成要綱案」でも排気量は350~500ccの車両を想定していました。小さなボディに工夫を盛り込むことで、安価な大衆車の量産につながり、高度経済成長期の1960年代後半には日本にマイカーブームが訪れました。

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ホンダ ビート PP1型(1991年)

1980年代に入ると国産車、輸入車ともに高級化が進む一方、日本の各メーカーはユニークなデザインや、操る楽しさを伝えるコンパクトカーを次々と発表し、根強いファンを獲得してきた実績があります。

展示会場では、こうした歴史をふまえて、昭和の軽自動車から令和のEVまで、小型車がモビリティの発展に果たしてきた大きな意義と魅力をアピールするとしています。

クルマのファンはもちろん、クルマを企画する人にも同企画展を見ていただき、ボディサイズの拡大を図ることが、必ずしも「日本」のユーザーのメリットにつながるとは限らない…ということも再確認してもらいたいものです。

●会期:2022年4月29日(金祝)~2022年7月18日(月祝)
●場所:トヨタ博物館 文化館2階 企画展示室
●内容:1950年代から現代までの全長4m以下の実車両と、約60台の1/43スケールモデルで小型車の変遷を紹介
●展示車両:オースチン ヒーレー スプライト(1958年)、マツダ R360クーペ KRBB型 (1961年)、ダイハツ ミゼット MP5型(1963年)、フィアット 500D(1963年)、スズキ スズライト キャリイ バン FBD型 (1964年)、スバル 360 K111型 (1965年)、ホンダ T360H AK250型 (1965年)、バモス ホンダ TN360型 (1973年)、スズキ アルト 3ドアバン SS30V型 (1979年)、ニッサン Be-1 BK10型(1987年)、トヨタ RAV-FOUR(1989年)、ホンダ ビート PP1型 (1991年)、スズキ カプチーノ EA11R型(1995年)、トヨタ WiLL Vi NCP19型 (2000年)、トヨタ C+pod(2021年)

塚田 勝弘

【関連リンク】

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https://toyota-automobile-museum.jp/

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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