■街乗りなら十分な航続距離150kmを確保
2021年12月23日(木)、トヨタの超小型EV「C+pod」が個人向けにもリース販売の対象になりました。同EVは、2020年12月に一部の法人や自治体などに向けて販売が開始されていました。
なお、全車リースによる契約(料金プランは、取扱店によって異なります)とし、全国のトヨタ車両販売店、レンタリース店で取り扱いが開始されています(一部取り扱いのない店舗もあります)。
超小型EV「C+pod」は、国土交通省が定めた「超小型モビリティ」。
トヨタ車体のコムス(セブンイレブンなどでも見かけます)に代表される第1種原動機付自転車(ミニカー)と軽自動車の間を埋めるクラスといえます。
超小型モビリティには「型式指定車」と「認定車」があります。
前者の最高速度は、構造上60km/h、定格出力0.6kW超、長さ2.5m以下、幅1.3m以下、高さ2.0m以下という要件があります。「C+pod」は、この型式指定車。
「認定車」は、最高速度が「個別の制限付与」となっていて、定格出力は0.6kW~8.0kW。サイズは軽自動車と同じで、長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下という制限があります。
さらに「C+pod」が分類される「型式指定車」には、超小型モビリティのうち、「原動機付自転車の大きさ以下の軽自動車であって、最高時速60km/h以下の自動車のうち、高速自動車国道などにおいて運行しないものが該当」という条件もあり、つまり高速道路の走行は不可。
さらに、型式指定車は「最高速60km/h以下の車両であることを車両後面の見やすい位置に表示する必要がある」とあります。
「C+pod」は、軽自動車未満の街乗り専用シティコミューターですが、衝突安全性能については、「ミニカー」よりも軽自動車に近い基準が適用されます。
フルラップ前面衝突は40km/h(軽自動車は50km/h)、オフセット前面衝突も40km/h(軽自動車は56km/h)。ポールへの側面衝突は非適用になり、ABSや横滑り防止装置、感電保護基準などはすべて適用されます。さらに、衝突被害軽減ブレーキも標準装備されています。
衝突安全性能、予防安全性能も含めて軽自動車に近い存在といえる「C+pod」。しかし、乗ってみると、音・振動面、とくに音の車内への侵入は大きめで、ミニカーと軽自動車の間くらいという印象を受けます。
最高速度にも制限があり、あくまで近所の足として割り切って使うものと設計されているようです。エンジニアに話を伺っていても、連続して長距離を走行する(航続距離は150km)シーンは少ないのでは?と見ているようです。
「C+pod」は、最小回転半径3.9mという驚異的な小回り性能も特徴。狭い住宅街や商店街などでも難なく取り回しが可能で、大人2人がゆったりではないものの、普通に乗れる車内を備えています。
価格を考えると躊躇する方も多そうですが、地方や都心などでも急速に減っているガソリンスタンド問題も、自宅で充電できれば解決できます(満充電までは200Vで約5時間、100Vで約16時間)。
なお、トヨタ・グループでは、ダイハツブースから2011年の東京モーターショーで「PICO」という2人乗りの超小型モビリティを披露したことがあります。
公共交通機関などの廃止、過疎化などを見据えたコンセプトカーを提案したものの、当時は規格そのものがなく、市販化されませんでした。約10年を経て、ようやく時代が追いついたともいえます。この市場が育つか注目です。
●参考価格(メーカー希望小売価格)
X:165万円
G:171万6000円
(文:塚田 勝弘/写真:井上 誠)