■突如電気自動車への本腰を発表したトヨタ
突如トヨタが本腰を入れ電気自動車戦線に切り込んでいくことを発表した! 今までホンダや日産も電気自動車に注力していくことを発表している。具体的に紹介するとホンダは10月に中国で5年以内に発売するという3台のコンセプトカーを公開。日産も5年間で2兆円を投資し、2030年度までに15車種の電気自動車を開発するという計画を打ち出した。ただホンダは中国のみ。日産も台数目標を出していない。
トヨタの発表ときたら比較にならないほどの規模感だった。最近「100年に1度の変革期を迎えている」などとNHKまで称すけれど、今まで変革期など1度も無い。自動車という乗り物が発明されて以来、初めての変革である。なんせパワーユニットがエンジンからモーターに変わるのだから。されどホンダや日産の発表を見ると手応え無し。だからこそ大手メディアはあまり取り上げず、自動車専門メディアもお付き合い程度の報道。
トヨタの発表会も淡々と始まった。スピーチを始めた豊田章男社長の後ろに並んでいたのはすでに存在を公表していた5台だったからだ。少し正確に書くと、一番左のbZ4Xこそアンベールされていたが、4車種はワールドプレミア。しかも市販車に限りなく近いエクステリアを持つ。この時点で日産やホンダを上回る規模。十分なインパクトだ。この5車種を中心に話をすすめて行くんだろうな、と思った次第。
ちなみに発表会の直前、トヨタの”官房長官”の役となる長田執行役員に御挨拶した際「今日は豊田の意向により全て見せますよ。お楽しみに」。なるほど5台を見せましたか、と考えていた直後、楽屋隠しだと思っていたカーテンがスルスルと上がり何と! 5台に加え11台の電気自動車が並んでいたのだった! 畳みかけるように「2030年に350万台の電気自動車を販売する」。「今後9年間で4兆円の開発予算を投じる」。
参考までに書いておくと今までトヨタは「2030年に200万台の電気自動車を販売する」と言ってきた。この台数すら「凄いね!」と思っていたのに、350万台(うちレクサスが100万台)に上乗せしてきたから魂消(たまげ)た。さらにトヨタ車開発の責任者である前田さんが「電気自動車は効率良い」。前田さん、ずっとエンジンをメインに開発してきた人だ。レクサスの佐藤プレジデントも「レクサスは100%電気自動車にします」。
電気自動車を350万台売ろうとしたら、それなりのモデル数も必要。それをモックアップ段階ながら極めて市販車に近い仕上がりにして16台並べた。何から何までホンキだ。2030年に向け必ずや調達難となる電池の生産計画も持っているらしい。今回の発表時は1枚のCGを出し、豊田通商などで材料の確保をしていると説明されただけながら、どうやら電池調達の専門チームも動き始めているそうな。
こうなれば日産とホンダも一段と深い情報公開などして決意を示すしかあるまい! 普通の新型車なら次世代モデルを出すと売れ行き鈍るけれど、電気自動車群なら新商品のためバッティングしない。オールジャパンで環境問題に取り組んでいる姿勢を示すべきだと思う。すでに世界中がトヨタのニュースを伝え始めた。グレタさんを筆頭とする環境団体も「まぁまぁでしょう」と思ってくれたら日本の良いアピールになります。
(国沢 光宏)