半澤 則吉 
目次
■某有名中古車会社の営業が家へ！ 勧められたのは真逆のクルマでげんなり
●クルマのことを聞かれるだけで、テンションが変になる
駐車場を借りたことからクルマを買う気になってしまい、クルマ探しに奮闘するクルマ業界ど素人ライター、半澤です。
正直、クルマとこんなに一生懸命向き合ったのは人生で初めてです。
元々モノ雑誌のライターもやっているため、良いアイテムが欲しい、コスパが良いものを見つけたいという想いは強いのですが、クルマはなんと言っても大きな買い物。選ぶときに失敗が許されないというプレッシャーも相まって、かなり慎重になっています。
そして、何より中古車の検索サイトが楽しすぎる！
ボクは不動産を探すのが本当に好きで、人の引越し先を一生懸命探したこともあったのだけど、あの感覚に似ていますね。思わぬお宝が眠っていないかと、日々検索を繰り返しています。これは良い趣味を見つけたな！
が、そんなことを言い続けては、何も進まないことに気づいたのは割と最近。ボクは自分のケツを叩くうえで、ある決断を下すことにしました。そう、某有名中古車会社の話を一度聞いてみることにしたのです。
いろいろ調べると営業がこちらにクルマを提案してくれるという会社を見つけたので、お願いしてみました。
予約時には専門のオペレーターが電話で細かいことを聞いてくれました。ボクは今知らない人と、クルマの話をしている。クルマを買おうとしている。そう考えただけでテンションがダダ上がり。
「そうですね、排気量は900くらいから1200cc程度のものを考えています、やはり排気量は小さい方がいいですね」。
第2回で覚えたばかりの「排気量」という言葉を使いたい一心で、ペラペラ話す半澤。そしてついに具体的にお探しの車種はございますか？という質問があり、いよいよ来たかと拳をぎゅっと握りました。スマホも汗ばみます。
「ルノーの『トゥインゴ』、色はブルードラジェというもので、これはキャンバストップという屋根が開くタイプと、そうでないのがあるのですが、どちらも検討しています。あ、カラーは優先順位低いのですが一応ご提案いただければ。ほかにはフィアット『500（チンクエチェント）』あたりで同じようなサイズのものも候補です。このサイズ感のクルマをぜひお伺いしたいですね」。
●欲しいクルマが大体絞れた！ルノーかフィアットの2択
そう、ここまで読んでいただいたらわかるように、ボクは候補を2車種に絞り込んでいました。
ルノー「トゥインゴ」か、フィアット「500（チンクエチェント）」。
前者は今まで名前すら聞いたことがなかったクルマ。ルノーはもちろん知っていましたが、トゥインゴというこんな小さくて丸いクルマを出しているとはつゆ知らず。街中でもあまり見たことがないし、前述のブルードラジェという色がとにかく素敵。
砂糖をコーディングしたお菓子「ドラジェ」のように、ちょっと淡い水色なのです。天井が開くキャンバストップモデルもあり、このフランス車にがっしり心をつかまれていました。
後者は輸入コンパクトカーを探す際、おそらく誰もが一度は候補にするイタリアの名車です。
なんといってもフィアットはルパン三世のクルマ。『ルパン三世 カリオストロの城』を冗談じゃなく生涯で100回くらい観ている人間としては、やっぱり憧れますね。現行モデルも小さくてかわいらしいし、イタ車のおしゃれさに胸を打たれました。
仕事の稼働時間よりもクルマの検索時間が上回るのではないかと思われるほどの長いクルマ探し期間を経て、ついにゴールが見えてきたのです！
どちらももちろん安くはありませんが中古でU130万円、U100万円がない訳ではない、絶妙な価格帯もポイントでした。ぜひこのあたり提案をプロにしてもらいたいと、一人ワクワクを隠せず、営業が来る日を待っておりました。
●排気量1700ccのクルマを勧められるとは思わなかった
営業の人がやって来たのは、ある曇りの日の午後でした。通常なら喫茶店などで話すことも多いといいますが、ご時世がら外よりも家の方が良いと言われ初対面の営業を家に通すことに。
となると、お茶の一つも出さないといけないし、部屋を片付けとかないといけないしなかなか大変でした。それでも、お得なクルマ情報を持って来てくれるならば、どうぞどうぞ大歓迎です。
うちにやって来た営業は感じもよく背も高く、シュッとしたスーツの男性でした。その頃テレビまわりにスーパーファミコンを置いていたんですが、かなり食いついてきて「えっ、いいですね。私も実家にスーファミ置いてますよ、何歳っすか？ え、じゃあタメじゃないですか」とテンション高め。
どうやら同じ年齢ということがわかって、少し和やかな雰囲気になりこちらも期待感が高まっていました。それだけに残念だった…。
というのも、彼が勧めてきたのがガチガチの国産、軽自動車だったのです。輸入車が欲しいと言っているボクに対し、営業は滔々と輸入車の悪口を語りました。
「輸入車はやはり故障が多いですよ。困っているお客様をよく見ます。整備にお金がかかりまくりますしね。走行距離も、日本車なら10万kmとかでも全然ありですが、輸入車は国産車の倍くらいの感覚で走行距離を見ておかないと。つまり2.5万kmで日本車の5万km相当。本当、故障も多い。買ってからかかるお金が違ってくるので、絶対国産車がおススメです」。
いやあ、これには言葉を失いましたね。輸入車＝故障が多い、それはそうなのかも知れない。けれど輸入車が欲しいというボクに対してここまで逆を攻めるかしら。
そして何より、事前にブルーだドラジェだ、キャンバストップだと電話口で口角を泡飛ばし語った、あの時間はなんだったのでしょう。オペレーターとの連携がゼロ、客の聞き耳を持たないという営業姿勢に苛立ちを隠せませんでした。
が、とりあえずボクは刀を鞘に収め、それでも輸入車を検討していると詰め寄ってみました。
すると営業、そこまで言うならという感じで持ってきたパソコンをカチカチ。
「お客様の予算間ですと（ざっくり100万円くらいと伝えていました）、このあたりなんていかがでしょう」。そう言って見せられたのが、まさかのメルセデス・ベンツ Aクラス。しかもスゴく古い型。色々コミコミで100万円ちょっとという提案でした。
ベンツに罪はありません。ただ、こちらのリクエストと違いすぎないか。
そして排気量を聞くと1700ccということ。内角低めに直球を要求しているのに外角高め、しかも届かないような高さに変化球を放られたような心境となり、ただただ呆然としてしまいました。それじゃ、まったく求めているものじゃないじゃん。
その後、ボクがもっとも気になっているルノー「トゥインゴ」も見積もってもらいましたが、いろいろコミコミ200万円はくだらないとのこと。うーん、そんなん買えないよ…。
と、ご覧いただきました通り、一度も要求のコースに球を投げてくれなかったこの営業からクルマを買うことはありませんでした。うーん、時間返せよ。無念。
次回、第4回【テレビ電話営業編】。地方のクルマをテレビ電話でチェック。気になるクルマにも心変わりが!?
（半澤 則吉）
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