■審査内容に変化アリ
6月最後の週末となった2021年6月26日〜27日、茨城県・筑波サーキットでD1GPの第3戦と第4戦が行われました。大会前、ポイント順位でトップに立っていた藤野選手は、まさかのノーポイントに終わりましたが、第4戦では川畑選手が踏みっぷりのいい走りで7位に入り、ポイントを獲得しました。
第1戦・第2戦といい走りを見せながら藤野選手が勝ちきれなかった理由は、新たに投入した86のデフがノーマルベースのもので、ファイナルギヤの選択肢が少なく、ギヤ比がコースに合わなかったからでした。
それを今回は、いわゆるクイックチェンジというモータースポーツ用のデフに交換し、ファイナルギヤも細かく変更できるような仕様にして大会に臨んでいます。
しかし、第3戦では審査内容の変更に翻弄されました。1コーナーを立ち上がってS字に入る区間で、車体が真っ直ぐの状態で加速すると大きく減点されることになったのです。右へのドリフト状態から左へのドリフト状態へ振り返しながら連続的に移行ことが求められ、S字への進入でタイミングが取りづらくなったわけです。
単走決勝。この審査基準にTeam TOYOTIRES DRIFTの2名は苦しめられました。
川畑選手は角度や振り返しのキレのいい走りを見せ、DOSS(機械審査システム)の点はよかったものの、1コーナーの先で真っ直ぐ進んだことによる減点を大きくとられて20位敗退。非常にいいリズムで走ってきていたように見えた藤野選手も、この区間を意識しすぎたことでわずかにリズムが崩れ、第1ヘアピンではみ出してしまい、減点されて17位。2台とも追走進出を逃してしまいました。
●開き直った川畑選手が高得点を獲得
翌日の単走決勝。まずは藤野選手が先に走ります。しかし、普段は正確なコントロールが身上の藤野選手が1本目に通過指定ゾーンを2つも外してしまうと、2本目はまずまずの走りを見せましたが角度が浅く、得点が伸びません。惜しくも18位で単走不通過となってしまいました。
いっぽうの川畑選手もエンジンがやや不調で悩んでいました。しかし、最後の走者として出走した1本目には、いきなりスピードもキレもバツグンの走りを披露。最後にヘアピンでスピンをしてしまったため、得点は伸びませんでしたが、2本目も高いスピードと、まずまずのリズム・角度を見せて98.50点という高得点をマーク。5位で単走を通過しました。
川畑選手はベスト16では上野選手と対戦。スピードで優位に立っていた川畑選手に対して、上野選手が無理についていこうとしてハーフスピン。川畑選手が勝ちました。川畑選手はベスト8で田中選手と対戦。両者大きなミスをして再戦に突入しましたが、川畑選手は後追いで入りきれなかったことと、やや角度が浅くなった場面があってわずかに及ばず敗退。最終的には7位となりました。
大会後、藤野選手は「クイックチェンジに替えたときにアームも多少替わってるんですけど、その辺のセットがちゃんとできてなかったですね。走ってる途中にずれちゃったっぽくて……。もうちょっと替わっているものに対して何がどうなっているかを常にチェックできるようにしておかないといけないですね」とコメント。
川畑選手は「最近多いんですけどエンジンが調子悪くて。はた目にわからないエンジンのばらつきというか踏み返したときに調子が悪くて、パワーが落ちるだけじゃなくてすごい扱いにくい状態で。それをなんとかタイヤを滑る方向にセットアップを変えてコントロールできるようにしてました。1コーナーからS字もドリフトを繋げないといけないので、もうがむしゃらに踏んでた感じです。追走も本来の思ってるようなコントロールはできずに終わった感じでした。毎回ですけど、次戦に向けてまた頑張ります」と話しています。
次のラウンドは8月のエビスサーキット2連戦です。藤野選手はシリーズ巻き返しを図りたいところ。川畑選手も昨年単走優勝をしているコースなので、スカッとする走りが見たいですね!
(まめ蔵)