国沢光宏がハイエースで全日本ラリー参戦!第2戦モントレーには秘密兵器を投入!

■ギア比と足回りを変更して戦闘力がアップ!

ハイエースで全日本ラリー参戦
モントレーに向けて大きく進化したハイエース
ハイエースで全日本ラリー参戦
国沢号のコ・ドライバーであり、この記事のレポーターでもある大西理恵さん

ヨーロッパの知人(ジャーナリスト)から「こんなクルマがラリーで走っているのは見たことない! 面白い! 頑張って!」と笑われたハイエースの全日本ラリーチャレンジ。初戦で課題をたくさん残しました。しかし競技の面白さは「進化すること」。第2戦「モントレー2021」を迎えるにあたり、有効なアイテムを2つ投入しました! 詳細を、ハイエースのコ・ドラ(ルートの道案内役)であり、「(国沢さんの)弟子にして欲しい」と言う大西恵理さんのレポートでお届けしましょう。

まだまだ進化過程にあるハイエースがとても興味深く、それを実際ラリーの現場で体感できるのはとてもワクワクします。今回も唐津同様、国沢/大西組、喜多見/木原組の2台体制です。ステージは走りのメッカである群馬県。モントレーのアイテナリーを見るとSS(競技区間)は30km×3本。無事に走り切ることができるのかという不安もありました。

ハイエースの前回からの変更点は、ギア比の変更と足回りの改良ということで期待が高まります。前回の唐津、1速と2速はすぐ吹けきってレッドゾーンに入り、3速にシフトするとガックリ回転数落ちて加速しなくなってしまうなど、ギア選択に苦戦を強いられました。今回は 1,2,3 速がクロス化されたとのことで、間違いなく戦闘力が上がっているはずです。

ハイエースで全日本ラリー参戦
ギア比の変更でコースにあったギア選択が可能になりました

土曜のレッキはノーカラーリングの車両で行うため、丸徳商会さんの荷物運搬用ハイエースを使います。乗り心地は良いとは言えません。国沢さんと組むのも2回目なので、(ペース)ノート(ルートの走り方をまとめたもの)作りもサクサク進みます。 SS1はハイスピードなコースでライン取りも重要に。 SS2とSS3は道幅が狭いコースで、長い下りもあるためブレーキが心配です。

どのコースも大きなギャップがあったり路面が荒れていてスリリングな予感が。今回は少し変則的なスケジュールで、レッキをしたその日にSSを1本走ります。ハイエースに乗り込み、皆に見送られサービスパークを出て、SSに向かうまでの間でもその変化に胸が高まりました。クロスミッションを導入したことによって、レーシーなギア音が車内に響きます。

この音、クルマ好きには堪りません。音だけ聞くととてもハイエースとは思えません(4速からはノーマルギアのため普通。笑)。 そして、レッキのときに乗っていたノーマルのハイエースとの乗り心地の違い。段差でのショックも絶妙に吸収してくれます。ラリー車の乗り心地を味わってしまうと、もう普通のハイエースには乗れなくなるぐらい劇的に違うのです。

ハイエースで全日本ラリー参戦
ドライバーの国沢光宏さん(右)

テンション激しく高まりながらSS1に到着すると、JN-3クラスのクルマがクラッシュしたらしく、このSSはスルー(安全な速度で通過)となりました。残念ですが、これもラリー。サービスパークに戻る頃には日も落ちもう真っ暗で、翌日に備えノートのチェックをして早々に就寝しました(この日は朝4時からレッキ開始だったので寝不足状態)。

日曜日は天気が心配。なんとかもって欲しい。サービスパーク出口で一般の方々からも声援を受けSSへ向かいます。高速道路を使用しての移動だったので、ハイエースラリーカーの高速走行も堪能しました。SS2がスタートすると、新投入したクロスミッションはかなり良く、その期待を裏切りませんでした。前回のような変速時のストレスがありません。

足回りも凄く良くなっており、コーナリング速度が速くなっています。ドライバーの国沢さんも凄く楽しそうにクルマをコントロールしている。無事に20kmのSSを走り切りました。下りもあるロングSSで心配していたブレーキももってくれました。”競技あるある”だけれど、前回の課題であったギア比問題をクリアしたら欲が出て、もう少しパワーが欲しくなります。

SS1本を走り終えて、リザルトを見てみるとクラス9台中4番手タイム(今回はオープンクラスでの参戦)と悪くありません! 次のSSの合間に給油とタイヤ交換を終えて、先ほどと同じコースを使うSS3。さらなる順位アップを期待して国沢さんと挑みます。ノートのタイミングも合ってきて国沢さんの走りもさらに洗練され、すごく調子が良く、楽しいです!

ハイエースで全日本ラリー参戦
モントレーを走るハイエース国沢号

すると前方に停止車両を発見。 停止車両の後続がみんな停まっていたため、通過できず数分停止してしまいました(その後、問題無いことを確認出来たため走行再開)。 1本目よりとても調子よく走れていただけにすごく残念でしたが、これもラリー(このフレーズ今回2回目。笑)。前回リタイヤとなった喜多見/木原組も完走し、2台揃って無事に完走となりました。

ハイエース、前回の唐津と比べ、明らかに速くなって進化していました。ラリーという過酷な状況の下、限界領域でクルマを走らせるということで色々な部分が見えてきます。まだまだ改善のポイントもあり、もっと進化していきそうなので、ハイエースの今後にはまだまだ期待がもてます。次戦は8月22日の全日本ラリー秋田。何とグラベル(未舗装)! はたしてどうなるか?

(文:国沢号コ・ドライバー 大西恵理)