押しの強いフェイスが流行中! 次期アルファードのフロントマスクはどうなる?

■マイチェンで「アルファード」の販売台数が増大

駐車をアシストしてくれる「パノラミックビューモニター」

一昔前なら、女性ドライバーが日常運転するクルマと言えば、扱いやすい軽自動車などのコンパクトカーが主流でしたが、近年では車体の大きい「ミニバン」を運転する女性の姿を見かけることが多くなっており、狭い場所への駐車も苦にしていないように見えます。

これは自動駐車機能「パーキングアシスト」や、自車の廻りの様子を上空から見下ろすように画面に表示可能な「パノラミックビューモニター」の普及によるところが大きいようで、これまで大型車の運転を不得意としていた女性ドライバーでも容易に乗りこなせるようになったことがその背景にあるようです。

室内が広く、家族で乗るのに適した「ミニバン」が女性ドライバーからも受け入れられるようになると、次に求められるのは他車に対して見劣りしない「存在感」。

2015年1月に発売され、すでに6年以上が経過するトヨタのミニバン「アルファード」の場合、2017年12月に実施されたマイナーチェンジ前後で販売台数に大きな差が生じています。

トヨタ「アルファード」のフロントマスク変遷

同車の2017年における年間販売台数は42,281台でしたが、マイチェン後に58,806台に増加。翌年にはさらに68,705台まで台数を伸ばしており、2020年には90,748台と、それまでの月販3,500台ペースから倍増となる7,600台/月にまで販売台数を伸ばしました。

2021年に入っても1月が10,011台、2月が10,107台と、月販1万台ペースを維持しており、マイチェンで実施したフロントマスクの意匠変更による効果が大きいように見受けられます。

●「ユーザーが求めるものは日々刻々と変わっていくもの」

AMG GLC43の迫力に満ちたフロントマスク

豊田章男社長の想いを元に大胆に変貌を遂げたアルファードですが、こうした傾向は強面のイメージが定着しているメルセデス・ベンツやBMW、アウディなどの欧州勢においても同様で、日本ではその流れが「ekワゴン」のような軽自動車にまで波及しています。

LEDの性能向上により、これまでクルマの表情に影響を与えていたヘッドランプの細幅化が可能になったことで、一様に「目つき」が鋭くなっており、ラジエターグリル意匠のワイルド化と相まってフロントマスクが「攻撃性」を増しています。

トヨタ「アルファード」のエクステリア

車高の高いミニバンに攻撃性の高いデザインを取り入れたアルファードの場合、自車後方に黒塗りの同車がバックミラーに写ると、あたかも煽られているような雰囲気を醸し出します。

女性ドライバーでも他車から「ナメられない」デザインを採用したことで、販売台数を伸ばしているアルファードですが、街中に同車が溢れると、反動で穏やかなデザインが懐かしく思えるようになるかもしれません。

親しみやすいフロントマスクを採用したホンダ・フィット

昨年2月に発売されたホンダ「FIT」の場合、攻撃性とは無縁のフロントマスクを採用しているものの、年末までに98,210台を売り上げており、今年に入っても6,000台/月程度の販売台数を維持しています。

来年のフルモデルチェンジが噂されているアルファードですが、今もなお攻撃性を求めないユーザー層が数多く存在していると思われ、ユーザーの求めるものが日々刻々と変化するなか、次期モデルでも「強面」のフロントマスクが継承されるのかどうか、今後の動向が注目されます。

Avanti Yasunori

【関連リンク】

トヨタ アルファード
https://toyota.jp/alphard/compare/

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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