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■2025年までに世界市場で10車種以上のEVを投入
トヨタ自動車では、1997年にハイブリッドモデル「プリウス」を世界に先駆けて投入することにより電動化をスタートさせ、これまでに世界で推定1億3,900万トンの温室効果ガスの大気放出を防止してきました。
同社は「環境チャレンジ2050計画」に基づき、充電インフラの整備状況を睨みながら着実に電動化を進めており、一昨年には2025年までに世界市場で10車種以上のEV投入計画を発表。新車販売の40%を電動車化するとしており、さらに2030年までに約70%を電動車化するとしています。
競合他社はすでに「EV」による電動化を訴求していますが、日本における充電インフラは2015年以降、急速充電器数が増加したものの、昨年5月時点で8,000基程度とまだまだ少なく、現時点では遠出などを考慮するとエンジンとモーターを併用するHVやPHVに頼らざるを得ない状況。
そうしたなか、中国では充電設備メーカーに対して報奨金制度を設けることで飛躍的に充電ネットワークを拡充させています。2019年の段階ですでに20万基(米国:1.6万基)を超える急速充電器が設置されており、2035年時点では60万基(米国:5万基)程度にまで拡充させる計画のようです。
ちなみに、急速充電器には日本発祥のCHAdeMO、欧米を中心とするCCS、中国のGB/Tなどが存在していますが、今後は中国や米国を中心に停車中/走行中の充電を可能にするワイヤレス給電システムの設置が平行して進むものと予想されています。
一方、トヨタは2030年までに「電動車の世界販売550万台以上(EV・FCVは合計100万台以上)」を目標に掲げていますが、ハイブリッド車(HV・PHV)や燃料電池車(FCV)のイメージが強い同社だけに、日本ではEVに関するイメージが希薄な状況。
●充電インフラ整備が進む中国でEVを先行展開
しかしトヨタは充電インフラ整備が進んでいる中国では、2019年から施行された新エネルギー車(NEV)規制に対応するため、「C-HR EV」と姉妹モデルの「IZOA(イゾア) EV」、レクサス「UX 300e」の3車種を昨年4月に発売済みで、日本市場でのEV本格展開については機が熟するのを待っているものと予想されます。
C‐HR/IZOAのEVには、54.3kWhの大容量を持つバッテリーパックを車体下部に搭載。車内スペースを犠牲にせず重心位置を下げるとともに、バッテリーパックを車体フレームの一部として設計することで、車体剛性を高めており、航続距離は400kmに達します。
また、同車をベースとするレクサス「UX300e」はEVならではの滑らかな加速フィーリングを追求するとともに、高周波数の風切り音を抑えるアコースティックガラスを装備するなど、遮音の徹底により、ロードノイズをシャットアウトすることで、100km/h巡航時の車室内騒音を58dB以下に抑制しています。
■4月の上海モーターショー2021で新型EVを公開!
トヨタ自動車のTMNA(トヨタ・モーター・ノース・アメリカ)で販売部門を担当するボブ・カーター氏によると、今後同社が提供する電動車にはユーザーのニーズにマッチした複数のパワートレインを選択肢として用意するとしており、先頃、北米市場を対象とした2モデルのEVと1モデルのPHV投入計画を発表しました。
EVについては中国向け「C-HR/IZOA」EVの米国版やレクサス「UX 300e」が対象になると予想され、さらにトヨタの欧州法人が今年4月開催の「上海モーターショー2021」で世界初公開することを明かした、EV用の新プラットフォーム「e-TNGA」を採用するSUVタイプのEVなども今後の投入候補になりそう。各モデル共に日本市場にも投入される可能性が高そうです。
このように、国内ではこれまでEV色を潜めてきたトヨタですが、本年を皮切りに、いよいよその具体的な展開シナリオが明らかになりそうです。
【関連記事】
トヨタのEVはレクサス「UX 300e」だけじゃない!「C‐HR」のEV化で電動化を加速
https://clicccar.com/2020/08/27/1007930/
【関連リンク】
C-HR EV
http://www.toyota.com.cn/vehicles/c-hr-ev.php
IZOA EV
https://www.ftms.com.cn/buycar/cartype/detail/izoaev