トヨタがFC(燃料電池)システムをパッケージ化したFCモジュールを開発。モビリティから定置式発電機まで活用を見据える

■60kWと80kWの2種類、それぞれに縦型(TypeⅠ)と横型(TypeⅡ)の計4タイプを設定

2020年12月に新型MIRAI(ミライ)を発売したトヨタ。ヨーロッパでは、欧州委員会が昨夏に水素戦略を発表したのをはじめ、ジャガー・ランドローバーがFCVの開発をアナウンスしています。

ほかにも、ダイムラー・トラックAGがFCトラックのコンセプトを発表するなど、多様な分野で水素利用が脚光を浴びています。トヨタも米国で大型のFCトラックを発表し、新型MIRAIの燃料電池(FC)システムが搭載されています。

トヨタ FCモジュール
FCモジュールと外部機器との接続イメージ

2021年2月26日、トヨタは、FCシステムをパッケージ化したFCモジュールを開発し、2021年春以降、販売を開始する予定と発表しました。

このモジュール化により、トラック、バス、鉄道、船舶などのモビリティや定置式発電機など、様々な用途のFC製品の開発、製造事業者(FC製品事業者)に容易に活用してもらうのが狙い。

先述のように、各国、地域で水素を活用する様々な政策が打ち出されたことで多くの企業の参入が相次いでいて、多様な用途で水素、FC技術を活用するニーズが高まってきているそうです。トヨタは、今後もカーボンニュートラルの実現に貢献するため、温暖化防止に向けたCO2排出量の削減を目指し、FCVの普及をはじめ、FC製品事業者とともにFC製品の普及による水素活用の促進を目指す構えです。

また、FCのシステムサプライヤーとしての取り組みを強化していくと表明しています。FCVのMIRAIで先行するトヨタは、FCバスの「SORA」の販売も含めて、FC製品事業者へのFCシステムの販売、さらにはFC関連の特許実施権無償提供など水素社会実現に向けた取り組みを推進。

トヨタ FCモジュール
横型のFCモジュール(TypeⅡ)

そんな中、様々な業界で、多くのFC製品事業者が自社製品に適合させやすいFCシステムを必要としていることが分かったそう。

トヨタは、こうしたニーズに応えるため、今回、高性能化された2代目MIRAIのFCスタックやエア供給、水素供給、冷却、電力制御など各々のFCシステム関連部品を1つのコンパクトなパッケージにまとめています。定格出力は、60kWと80kWの2種があり、各々に縦型(TypeⅠ)と横型(TypeⅡ)の2種の計4タイプが用意されています。縦型(TypeⅠ)は、長さ890×幅630×高さ690mm、重量は約250kg。横型(TypeⅡ)は、長さ1,270×幅630×高さ410mm、重量は約240kg。

汎用性や積載性として3つの特徴があります。

1つ目として、電圧範囲が広く(400~750V)、FC専用の昇圧コンバーターを内蔵したことで、モーター、インバーター、バッテリーなどを備えた既存の電気機器に直接接続することができるため、より容易にFC製品の開発、製造が可能になり、モジュール化によって利便性を大幅に向上しています。

2つ目が、用途に応じて4タイプのモジュールを組み合わせることにより、様々な出力、搭載スペースに応じて柔軟に適合することが可能な点。

そして3つ目は、モジュール化によりFCシステム関連部品を個々に搭載するための設計や、各部品間の接続が不要になることです。適合させる機器との接続箇所を少数に集約することができるため、容易に搭載ができるようになります。安全性、信頼性、サポート体制も担保されています。「水素を漏らさない」「万一漏れても検知して止める」といった水素の使用や高電圧に対する安全性について、FCVやハイブリッド車などの電動車開発で培ってきた対策が実施されています。

トヨタ FCモジュール
縦型のFCモジュール(Type Ⅰ)

また、低・高温時や、酸素量が少なくなる高地でのシステム稼働、振動対策など、幅広い使用環境に対応。さらに、FC製品事業者が同モジュールを活用する際は、要望に応じて、経験豊かなエンジニアが、燃費や使用期間、ランニングコストなどに応じた最適配置、設計をサポートするとしています。

優れた基本性能も美点。発電時の生成水をFCスタック内部で循環させることにより、加湿器をなくしたコンパクトなトヨタFCシステムの特徴を活かし、世界トップレベルの体積当たり出力密度を実現しています。また、メンテナンスが簡便で少頻度ですみ、購入から使用、廃棄にまでの総コスト低減に寄与するのもポイントです。

(塚田勝弘)

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