■川畑選手がスピードを見せつけた第7戦の追走
新型コロナウイルスの影響でスケジュール変更を受けた、D1GPの2020年シリーズ。2021年に入ってからの1月末、ついに第7戦、第8戦と最終ラウンドが開催されました。
大会前の時点でTeam TOYO TIRES DRIFT-1の藤野選手はシリーズ2位、川畑選手は同4位につけています。首位の小橋選手との差は大きいのでタイトル獲得は厳しい状況ですが、筑波サーキットは見せ場も多いコースなので、カッコいい走りを印象づけたいところです。
GRスープラを駆る川畑選手も、前ラウンドで悩まされていたフロントの違和感が解消されて、今シーズンもっとも仕上がりのいい状態で大会に臨みました。
まずは第7戦の単走。練習走行から好調だった川畑選手ですが、1本めは最初の振り出しで姿勢を乱してしまい、低い得点になってしまいます。それもあって、2本めは特に後半のセクターで振り返しの角度や勢いを抑えた走りになってしまい、95.46点といういまひとつの点数。16位ぎりぎりでの単走通過となりました。
いっぽうの藤野選手は高い車速からまずまず走りをまとめて97.92点をマーク。7位通過となりました。
追走ベスト16、川畑選手は単走優勝した中村選手との対戦になります。1本めは川畑選手の後追い。しかし1コーナーの進入でラインが小さくなってしまい、インカット。後半には距離を詰めましたが、アドバンテージはとれませんでした。
2本め、川畑選手は最初のストレートから中村選手をぶっちぎります。GRスープラのスピードとキレを見せつけた走りとなりましたが、多少フラつきなどもあったためか得点は伸びず敗退となっていまいました。
いっぽう藤野選手は、ランキング首位小橋選手のチームメイトである末永直登選手と対戦。小橋選手よりも先に負けてしまうと、チャンピオン獲得の可能性が絶たれてしまうので、負けられないところです。
しかし、藤野選手先行の1本め、S字でリズムを崩した末永選手がラインを乱し、藤野選手と接触してしまうアクシデント! 藤野選手はフロントの足まわりに大きなダメージを受けてしまいます。末永選手の落ち度が大きいクラッシュだったため末永選手はリタイヤを出し、勝ちを譲ってくれましたが、藤野選手のマシンは次の対戦までに十分な修復をすることはできず、リタイヤ。けっきょく川畑選手は16位。藤野選手は7位で大会を終えました。
このラウンドの結果、シリーズチャンピオンは小橋選手に決まりました。
●第8戦は藤野選手が接近ドリフトを見せる
翌第8戦。藤野選手のマシンは徹夜で作業され、ほぼ元どおりに修復されて戻ってきました。まずは単走決勝。単走シリーズタイトルを狙う藤野選手は、ストレート前半の角度や1コーナーの角度で点を稼ぎましたが、ヘアピンの角度などで点を落とし、97.77点で9位となってしまいます。けっきょく横井選手が4位に入ったことで、単走シリーズチャンピオンは獲得できませんでした。
いっぽう川畑選手は、また1本めにヘアピンでスピン。2本めは抑えた走りとなり、96.07点。またしても16位ぎりぎりでの単走通過となりました。
そして追走。この日単走優勝した小橋選手とベスト16で対戦した川畑選手でしたが、1本めの後追い時にコースアウトするとエンジンがかからなくなり、リタイヤとなってしまいました。
川畑選手は「練習はすごいよかったです。単走本番のスタートからエンジンが調子悪くなりました。走っているときもパワー感がなく、『調子悪いなぁ』という感じでした。で、追走前にさらに悪化して、応急処置して走ったんですけど、ダメでした」と残念そうでした。
いっぽう藤野選手は、ベスト16で松山選手と対戦。後追いからはきれいな近いドリフトを見せましたが、先行時にめずらしく指定通過ゾーンを外すなどして減点を受け、敗れてしまいました。
2020年シーズン、Team TOYO TIRES DRIFTの川畑真人選手は開幕戦優勝のシリーズ6位。藤野秀之選手は単走優勝2回のシリーズ3位という成績で終えました。
川畑選手のチームのエグゼクティブアドバイザー時田さんは、「GRスープラは前例がないクルマなので大変ですね。ウチは打倒2JZということで3Uっていうエンジンを選んで、今季いろいろ試して、やっと形になったところで、最終戦にはまた別の形でのトラブルが本当にいいところで出てしまいました。かなり悔しい部分ではありますけど、来季に向けていい方向でやっていきたいので、みなさんまだまだ応援よろしくお願いします」と語っています。
練習走行では川畑選手のスピードとキレのある走りを楽しんだファンのかたも多いはず。新シーズンはいよいよ心おきなく暴れてほしいところです。
(文:まめ蔵/写真提供:サンプロス・まめ蔵)