トヨタが2020年新車販売世界一をVWから5年ぶり奪還。中国市場とハイブリッドの伸びが貢献、一番売れたのはRAV4

■トヨタ・ダイハツ・日野を合わせた2020年のグループ販売は952万8438台。930万台のVWを超え5年ぶりに世界一に復帰

トヨタ本社
コロナ禍でも落ち込みを最小限に抑えたトヨタ。グローバル販売での電動車比率が2019年の約20%から、2020年は約23%に増加したのが効いている

トヨタが2020年のグローバル販売について、ダイハツ、日野を合わせたグループ合計で952万8438台となったことを発表しました。この数字自体は、前年比88.7%でけっして好調というわけではありません。しかし、ご存知のように2020年前半が新型コロナウイルスの影響により世界的に景気が低迷していたことを考えると、期待以上の実績といえます。

そして、これは2015年以来の世界一の販売台数となったのでした。

世界一の座を争うライバルは、もちろんフォルクスワーゲン・グループです。ポルシェやアウディといった同グループを合計した2020年の販売台数は930万5400台(前年比84.8%)と、トヨタほど回復することができず、4年間守ってきた1位から陥落してしまいました。

では、トヨタが新車販売で世界一に復活できたのはなぜでしょうか。

ひとつの要因として中国市場のいち早い回復と、そこでしっかりと販売増を果たしたことが挙げられます。事実、トヨタの発表では、中国市場での2020年実績は179万7487台で、前年比110.9%となっているのです。

そのほかの主要マーケットの2020年通年での販売実績を確認すれば、北米が240万8072台で前年比87.3%、欧州は96万1699台で前年比91.5%、そして日本は150万4221台で前年比93.4%となっています。いずれも後半に持ち直したことで前半の落ち込みをカバーしたカタチになっています(レクサスを含むトヨタの販売実績)。

さらに、ハイブリッドカーが世界的に好調だったこともトヨタが世界一になった要因といえます。

RAV4 USA
2020年に最も売れたトヨタ車はRAV4。グローバル販売台数は99.4万台(前年比102.9%)。中国では17.5万台(前年比137.9%)と好調だった※写真は北米仕様

世界の自動車市場は電動化が大きなトレンドになっています。フォルクスワーゲン・グループでは究極の電動化ともいえる電気自動車にシフトしようとしていますが、コストを考えると電動化の主役はハイブリッドカーという見方が主流です。

実際、トヨタが発表したハイブリッドカーの2020年グローバル販売台数は195万4454台で、前年比101.7%と伸びています。とくに海外市場では141万9492台と前年比110.6%と大きく伸びています。ちなみに、プラグインハイブリッドカーだけを見ると4万8513台で前年比85.8%と減っています。

クルマの電動化が加速する時代に、いまだハイブリッドカーを軸に据えているトヨタはオワコンになってしまうという声もありますが、少なくとも2020年のマーケットは手頃な価格で環境性能を実現できるハイブリッドカーを求めていたといえるでしょう。そうしたニーズに合致したことも、トヨタのいち早い復活に貢献したといえそうです。

なお、2020年に最も売れたトヨタ車はRAV4でした。その販売規模はグローバルで99.4万台と前年比102.9%。主要市場の北米に加え、中国でも17.5万台(前年比137.9%)だったこともRAV4の好調さにつながったということです。

(自動車コラムニスト・山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
続きを見る
閉じる