■充電は普通充電のみで、200Vなら約5時間で満充電が完了
2020年12月25日、トヨタは超小型EVの「C+pod(シーポッド)」を、法人や自治体などを対象とする限定販売を同日に開始したと発表しました。EVの新たなビジネスモデル構築など普及に向けた体制づくりをより推進し、個人向けを含めた本格販売は、2022年を目途に開始する計画としています。
ボディサイズは、全長2490×全幅1290×全高1550mmの超コンパクトボディで、最小回転半径はわずか3.9m。リチウムイオンバッテリーはシート足元の床下に搭載され、段差の少ない低床フラットフロアを実現。また、リヤにモーターが配置されたRRレイアウトが採用されています。
高剛性で軽量なボディと路面の凹凸を吸収する独立懸架式サスペンションとの組み合わせにより、上質な乗り心地とフットワークの良さ、安定感のある走りが得られたそう。
気になる航続距離は、シティコミュータとして安心して日常使用できる150kmの航続距離(WLTCモード値 クラス1・充電電力使用時走行距離。国土交通省審査値)となっています。充電は、自宅でも外出先でも気軽に充電できる普通充電に標準対応し、付属の充電ケーブル(AC200V・AC100V兼用)をコンセントに接続するだけで充電が可能。充電時間(満充電)は、単相200V/16Aで約5時間。単相100V/6Aは約16時間。
外出先ではEV、PHV充電サポートに加入することで、「G-Station(充電器)」が設置されているトヨタ車両販売店(約4,200基)をはじめ、全国の普通充電スポット(約10,800基)での充電ができます。
さらに、停電や災害時などの緊急時に役立つ最大1,500W(AC100V)の外部給電機能も標準装備されます。助手席足元に設置されたアクセサリーコンセントに加えて、オプションのヴィークルパワーコネクターを車両前方の普通充電インレットに差し込めば、外部給電用のコンセントとして約10時間程度の電力を供給可能(一般家庭が日常使用する消費電力量1日当たり10kWh(家庭での1時間当たりの消費電力400W)として試算した場合)。
デザインは、キャビンがブラックアウトされたほか、LEDヘッドランプ、LEDリヤコンビネーションランプも取り込むことで、凝縮感と、EVデザインとして特徴的なグラフィックを創造したそうです。
毎日使う充電、給電インレットをヘッドランプの間に配置し、扱いやすさに配慮したそうです。外板パネルは樹脂製とすることで軽量化を追求。ボディカラーには、キャビンのブラックに、鮮やかな「シアンメタリック」、アクティブで深みのある「オレンジメタリック」などとコーディネイトされた2トーンカラーが全5色用意されています。さらに、キャビンに加えてボディもブラックアウトした3トーンカラーを全3色用意。
居住性は、1100mmの室内幅を備えていて、大人2人が並んで座れるシンプルなキャビンになっています。インパネには、メーターを中心とする機能系装備をホワイトのセンタートレイ上に配置され、ブラックを基調とするインテリアとのコントラストにより、実際のサイズ以上に広さを演出したそうです。スイッチ類もセンターパネルに集約され、やさしい操作性が追求されたそうです。
気になる安全装備は、軽自動車向けの基準を元に、新たに設定された超小型モビリティ用の安全基準に対応しています。万が一の事故に備えて、衝突エネルギーを多くの部材へ効率よく分散吸収させる構造の採用。前面、側面、後面など、あらゆる方向からの衝突に対して安全性が追求されたそうです。
さらに、歩行者への衝撃を緩和する歩行者傷害軽減ボディも採用。車両(昼夜)、歩行者(昼夜)および自転車運転者(昼間)を検知可能なプリクラッシュセーフティも標準装備されています。低速走行時における、壁などの障害物との衝突回避または、被害軽減に寄与するインテリジェントクリアランスソナー「パーキングサポートブレーキ(静止物)」も設定。
「C+pod」の価格は、「X」が165万円、「G」が171万6000円です。
なお、今回のC+pod発売を機に、EVならではの新たなサービスを実証的に提供するというのもトピックス。最適な充電設備工事とCO2フリー電力などのEV向け電力プランについて、1つの窓口でサポートする法人向けワンストップサービス「TOYOTA GREEN CHARGE」を中部電力ミライズと共同開発されています。「TOYOTA GREEN CHARGE」、関西電力、東京電力エナジーパートナーと提携して同サービスを展開するそうです。
さらに、観光情報とのセットでスマホひとつでかんたんに使用できるトヨタのカーシェアサービスである「TOYOTA SHARE」を活用し、利用者の観光・周遊促進を図る「EVカーシェア」など、順次進めていく予定としています。
(塚田 勝弘)